健康連載ブログ

2006年10月03日

ハイテク医療最前線

【第83回】出血しやすく硬い腫瘍により有効/聖マリアンナ医大橋本卓雄教授

電磁場メス(2)

 これまで手術適用が難しかった脳深部の腫瘍(しゅよう)手術を可能にしたのが、電磁場メスと呼ばれる最新鋭の手術装置である。従来の電気メスの数十倍の高周波エネルギー(13・56メガヘルツ)が生じ、メスの先端が触れた部分を高熱(250度)で蒸発・気化してしまう。

 開発協力者である聖マリアンナ医科大学病院脳神経外科の橋本卓雄主任教授は「電磁場メスの働きは幅1ミリのピンポイントに設定され、不用意に他の場所を傷つけることはありません。手術による出血も少ないことから、脳幹近くや頭蓋底など出血しやすい部分の脳腫瘍手術に使えます」と説明する。

 脳腫瘍手術は、脳組織を傷つけず、安全・確実に行うことが基本。そのための特殊な器 具や装置などの開発が進んでいる。電磁場メスを使う手術の際も、手術用顕微鏡やメスの位置が瞬時に画像上に示されるニューロナビゲーターという装置が使われる。

 「手術用顕微鏡は細かい血管や神経を避けながら患部を摘出するため、欠かせないものになっています。執刀医は顕微鏡で患部を見ながら手術を進めていきます。顕微鏡だけでは見えない部分は内視鏡を併用することもあります」。

 ニューロナビゲーターは、手術前に撮影した腫瘍の位置などを示す画像をコンピューターに入力し、執刀中のメスの位置を画面上に示す装置。

 「画像に示すことで計画通りに手術が進んでいるか、腫瘍がどれくらい摘出できているかが確認できます。ニューロナビゲーターではなく、MRI(磁気共鳴画像装置)を使う方法もあります」。

 脳の治療は、安全・確実に行うのが第1の目標。電磁場メスの開発も基本的考えは同じ。これまでのレーザーメスや超音波メスを否定するものではない。特長を生かせるケースではそちらを使う。

 「レーザーメスは周囲への影響が少ないという長所があり、超音波メスは軟らかい組織に有効です。電磁場メスは出血しやすく硬い腫瘍により有効な手術装置といえるでしょう」。
 電磁場メスによって手術適用の応用範囲が広がっている

 【医学ジャーナリスト小野隆司】

 ◆良性・悪性 脳腫瘍の良性・悪性は、増殖のスピードや広がり方で判断する。良性は塊を作りながら、ゆっくり大きくなる。正常な部分との境界がはっきりしている場合が多い。悪性は周囲の組織に染み込むように広がり、境界も不鮮明。すべてを取り除くことが困難。

October 3, 2006 10:29 AM

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