健康連載ブログ

2006年09月07日

ハイテク医療最前線

【第58回】骨再生を促す細い孔/東京大学鄭雄一助教授

移植用テーラーメード人口骨(1)

 手術による骨切除や骨折後の癒合不全などの場合、骨の移植が行われる。欠けた場所に骨を入れ込む手術で、年間8万件以上に上る。

 通常は患者自身の骨盤(腸骨)から骨を採取して移植する自家骨移植となるが、体への負担も大きく採取量や回数にも制限がある。ボーンバンクに保存されている他家骨移植もあるが、安全性の問題、提供者不足から日本ではあまり行われていない。

 そこで望まれてきたのは、自家骨に代用できる特性を持つ人工骨。いくつか開発されているが、欠けた部分にフィットする形を手術中に作らなければならないこと、当てはめた人工骨が自分の骨に置き換わる(吸収置換)ことが難しいなどの問題がある。

 そうした自家骨、他家骨、人工骨移植のデメリットを解決する新しいタイプの人工骨が開発され、今年3月から実際に患者に移植する臨床研究段階に入っている。

 東京大学医学部付属病院、同農学部家畜病院、理化学研究所、医療ベンチャー企業のネクストが共同開発したもの。

 臨床医工学の専門家として開発に当たってきた東京大学の鄭雄一助教授(医学部疾患生命工学センター、東大病院ティッシュ・エンジニアリング部)は新しいタイプの人工骨について次のように話す。

 「移植する場所に適合するテーラーメード人工骨を短時間で作れ、従来の人工骨では不可能だった骨再生を有利にする内部構造を設計しているのが最大の特徴です。人工骨に細い孔(あな)が開いていて、移植後、この孔に血管や骨の成分、自分の骨に吸収置換する破骨細胞と骨芽細胞がスムーズに入れるようになっています」。

 この新タイプの人工骨製造にパソコンのカラープリンターでおなじみの印刷技術、インクジェット方式が使われているのも話題になっている。鄭助教授はこの印刷技術が開発の大きなカギとなった、という。

 詳しくは次回で。

 【医学ジャーナリスト小野隆司】

 ◆骨移植手術 整形外科分野では100年ほど前から行われている。機能的回復が主な目的だったが、先天的な口唇・口蓋(がい)裂などの形態的改善治療も多くなり、現在は整形外科、形成外科、口腔(こうくう)外科で最も重要な手術法の1つといわれている。

September 7, 2006 09:20 AM

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