2006年09月29日
ハイテク医療最前線
【第79回】すでに16例、有効性証明/先端医療センター浅原孝之副所長
血管再生医療(1)
再生医学、再生医療に対する期待は大きい。臓器移植や人工臓器が、ドナー(提供者)不足、免疫反応(拒絶反応)、代替機能の限界など簡単に解決できない問題を抱えているからだ。
肝臓の再生能力はよく知られているが、他の臓器や組織も実は再生能力を持っている。以前は減る一方と思われていた脳の神経細胞(ニューロン)も、記憶をつかさどる海馬と呼ばれる部分で再生していることが確認され、世界的なニュースになっている。
そうした臓器再生の鍵となっているのが幹(かん)細胞と呼ばれる存在。受精卵が胎児になる途中の胚(はい)から作り出される、あらゆる細胞に分化できるヒト胚性幹細胞(ES細胞)が有名だが、大人になってもそれぞれの臓器に再生・修復に働く幹細胞があることが分かってきた。成体幹細胞と呼ばれている。体性幹細胞ともいう。
現在、臨床応用に一番近い再生医療だろう、と関心を集めているのが、成体幹細胞を利用した再生医療なのである。
中でも血管再生治療は注目度が高い。血管は栄養と酸素を運ぶ血液が通る道路網である。臓器が再生するにしても、血液が送られない場所は幹細胞も働かない。血管が再生するだけで病気改善につながる臓器や組織の再生が行われる可能性は十分ある。
その血管再生(治療)の臨床研究に取り組んでいるのが、先端医療センター(神戸市)の浅原孝之副所長。東海大学再生医療科学教授、理化学研究所提携チームリーダーも務めている。
血管再生の臨床応用が可能になったのは血管内皮前駆細胞(EPC)という存在の発見。浅原副所長が10年前、米国での研究留学中に見つけたものだ。
「EPCは正確にいえば血管の幹細胞が再生に向けて1歩進んだもの。動物実験などを経て国内では2年前から臨床研究段階に入っています。これまで16例を数え、いずれも血管再生による治療の有効性は認められます」。
次回に続く。
【医学ジャーナリスト小野隆司】
◆皮膚の再生医療 やけど治療には表皮細胞を培養して作った皮膚移植が行われている。90年にロシアのコンスタンチン少年が日本の病院で培養皮膚手術を受けたのは有名。ただ培養皮膚は毛穴や汗腺の再生が今ひとつ。完全な皮膚再生を目指して研究が進められている。
September 29, 2006 09:07 AM
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