2006年07月28日
ハイテク医療最前線
【第17回】前立腺肥大症手術にも利用/日本臨床医療レーザー協会菊山賢理事長
レーザー(2)
男性に増えている病気に前立腺肥大症がある。年齢と深い関係があり、40~50代から症状が出始め、60歳を過ぎると半数以上の人が夜間頻尿を訴える。80歳までに80%の男性が前立腺肥大症になるといわれている。
その前立腺肥大症手術としてレーザー治療が選択肢とある。現在、主流の手術方法は内視鏡を尿道から挿入して前立腺を電気で切除する方法だが、出血があり時には輸血が必要な場合がある。術後も痛み・出血があり、尿を出すためのカテーテル(管)を1週間ほど付けておかなくてはいけない。
そうしたデメリットを解消する手術としてレーザーが利用され始めた。特にホルミウムレーザーと呼ぶ新タイプが登場し、患者の体の負担が大幅に減っている。
レーザー技術開発に詳しいNPO法人日本臨床医療レーザー協会の菊山賢理事長は「日本では数年前から始まった手術法ですが、従来の手術と比べて優れている点は術中の出血がかなり抑えられることです。尿道カテーテルもほとんど場合、翌日に必要なくなります。術後の痛みも比較にならないほど軽減されています」と説明する。
レーザー治療は「魔法の光」とも形容されることもあるが、患者のQOL(生活の質)を維持するものとして評価は高い。
ただし、レーザー治療を正しく理解するためには「魔法の光的な側面は強調すべきではないでしょう」と菊山理事長は話す。レーザー治療はとかく簡単さ、早さが話題になりがちで治療効果の面が見逃されがちだからだ。
「基本的にレーザーは道具です。的確に診断し使いこなす医師の技量・経験が治療効果を左右することを忘れてはいけません」。
その点では日本のレーザー医療の現状は一抹の不安がある。最新鋭の機器は厚生労働省の認可が下りていないのが通常。医療現場でのトレーニング・マニュアルはないに等しい。大学の医学部でもレーザー技術を訓練する課程は今のところない。
「レーザー治療のメリット、デメリットを正確に伝える必要性があります。現状では脱毛とかシミ解消など病気治療以外の活用ばかりになってしまわないか心配しています」。
【医学ジャーナリスト小野隆司】
◆レーザー媒体 レーザーは媒体(誘導を起こす物質)によって種類が分けられる。クロムイオンをサファイア結晶に入れたルビーレーザー、ネオジムイオンをイットリウム・アルミニウム・ガーネット結晶に入れたヤグレーザー、媒体が気体の炭酸ガスレーザーなどがある。半導体を媒体とする半導体レーザーも普及している。
July 28, 2006 09:19 AM
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