健康連載ブログ

2006年07月26日

ハイテク医療最前線

【第15回】報酬、保険、認知度が課題/太田病院太田隆正副院長

遠隔在宅医療(3)

 岡山県新見市の遠隔在宅医療システムの実証実験はいろいろな改良が加えられている。患者宅に持ち込まれる端末機器(医心伝信)も小型・軽量化している。現在、使用しているものは約7キロあるが、改良型の医心伝信2は重さ・容積が50~60%コンパクト化され、画面サイズは13インチから14インチへ大きくなっている。プライバシー保護のため通信内容の暗号化も可能になっている。

 また画像・音声の鮮明性、安定性などは2年後には全域で光ファイバー網が整備される予定になっている。ハード面では実用化は即、可能な段階になっている。

 問題は現在の医療体制にどう組み込めるかだ。

 実証実験を中心となって進めている太田隆正・太田病院副院長は「診療は対面診察が原則。テレビ画像による視診は診療報酬として認められていません。介護面への活用も介護保険の適用範囲に入るのかどうか決まっていません。実用化にはまずこの問題をクリアする必要があります」と話す。

 在宅医療機関、訪問介護ステーションなどの介護事業者がサービスとして取り入れる方法はあるが、どの程度の料金設定が可能なのか分からないのも現状だ。介護ロボットでは食事支援ロボット(マイスプーン)がリース料(月6000円ほど)を設定して普及を図っているが、「端末機器の価格はともかく、医療を行うことが眼目ですから、料金体系の位置付けを決めないことには何事も始まらない状況です」。

 05年度の実証実験事業報告書にはその都度参加した患者、医師、機器開発会社からの問題点と対策が掲載されている。

 顔色など細かい色が判断できない→デジカメの映像で再確認する、画面の中に映らない人がしゃべるのが不安→最初に誰が現場にいるか紹介する、立った状態ではマイクの音が小さい→マイクの位置を対象者に近づける、などささいなことにも対応してシステム向上を図っている。

 「早期実用化には認知度のアップも大事。新見市の住民でも知らない人が結構います。認知度と必要性が一致すれば実現可能でしょう。私たちとしては実証実験をさらに積み上げていくだけです」。高齢社会の進展ぶりを考えても注目される取り組みだが、全国からの問い合わせは少ないそうだ。

 【医学ジャーナリスト小野隆司】

 ◆高齢者と在宅医療 年齢とともに在宅医療を受ける割合は増えていく。現在、在宅医療を受けている患者の87・7%が65歳以上。推定患者数は6万3000人となっている。ちなみに高齢者の外来患者数は270万人を超えている。

July 26, 2006 09:13 AM

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