2006年07月19日
ハイテク医療最前線
【第8回】臨床応用段階「ハイブリッド型肝臓」/東北大加齢医学研究所山家智之教授
人工臓器(2)
さまざまな機能を持つ臓器の完全人工化は極めて難しい。それでも一部の機能を代行できれば医療への応用は広がる。人工肺は心臓手術の際、二酸化炭素と酸素のガス交換を行うために使われている。人工腎臓(透析装置)も血液をきれいにする機能を代行している。半透膜という特殊な膜を介して血液から老廃物を取り除いている。人工臓器の開発で知られる山家(やんべ)智之・東北大学加齢医学研究所教授は「一部とはいってもかなり複雑な機能も代行できるようになってきています」と話す。
臨床応用が可能になっている人工膵臓(すいぞう)は、血糖値をコントロールしているインスリンとグルカゴンを人工的に作り置き換える装置。血糖値の動きをとらえるセンサー、インスリン溶液・ブドウ糖溶液の必要量を制御するコンピューター、体内に注入するポンプなどで構成されている。はがき大の携帯型人工膵臓も開発されている。
分かっているだけで500種類以上の代謝反応を担っている肝臓の人工臓器化開発も行われている。肝臓は再生能力があるため、一時的にしろ代行できれば治癒につながる。「3分の2を切り取っても2週間ほどで元に戻る肝臓ですが、肝細胞は体外での培養が困難な細胞としても知られます。それだけに人工肝臓へも期待が大きい」と山家教授。
500種類以上の代謝反応を代行する装置はどこまで巨大になるか分からない。実用性がないともいえる。そのため人工肝臓開発は肝細胞と人工装置を組み合わせたハイブリッド型が研究されている。
解毒代謝をする肝細胞の働きは動物でも同じなので、ブタなどの肝細胞を利用した人工肝臓が開発され、米国では臨床応用が続けられている。ブタの肝細胞を付着させた装置や血漿(けっしょう)をためるリザーバー、血漿分離器、ガス交換器などで構成されている。「肝臓移植までの延命装置としては実績があります。日本でもハイブリッド型人工肝臓は開発されています。臨床応用段階にあるといえます」。
人工臓器は患者のQOL(生活の質)向上面への期待も大きい。山家教授が開発にかかわった人工括約筋は応用範囲が広く、世界的に注目されている。詳しくは次回に。
【医学ジャーナリスト小野隆司】
◆人工臓器研究の歴史 第2次世界大戦中に熱心に取り組まれた歴史を持つ。材料工学の進展とともに実用化が図られるケースも多い。人工骨は80年代に骨の成分(リン酸カルシウム)に近い素材が開発され普及することになった。それまでの人工骨(ステンレス製、アルミ製)は取り換える必要が起こる場合もあった。
July 19, 2006 09:20 AM
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