健康連載ブログ

2006年07月18日

ハイテク医療最前線

【番外編】脳腫瘍などに威力ガンマ・ナイフ

ガンマ・ナイフ

 最先端技術を駆使しているのがハイテク医療。しかし、中にはかなり前に開発され、最近になって注目されているものもある。開頭せずに脳腫瘍(しゅよう)手術ができるガンマ・ナイフはその最たる例。“最新の治療装置”と紹介されていることもある。

 ガンマ・ナイフは放射性物質のコバルト60が出すガンマ線を患部に照射して病巣を破壊する装置。ガンマ線を手術の際にナイフ(メス)のように使うイメージからそう呼ばれている。

 放射線を当てて患部を破壊する方法は以前からあるが、周囲の正常な組織まで破壊する可能性が高いため、一定以上の放射線量を照射できないという限界がある。特に脳の場合は正常な組織が傷つけばマヒなどにつながりかねない。

 ガンマ・ナイフは放射線を照射する個所が多数に分散(201カ所)している。それぞれが集中するポイントが治療個所となる。1つ1つの照射量は少ないため、患部以外の組織への影響が少ない。脳の病気も開頭せずに手術ができるようになったわけである。
 まさにハイテク装置だが実はガンマ・ナイフは1968年にスウェーデンで開発されたもの。同国カロリンスカ病院の脳外科医がつくり上げ、その後十数年間、スウェーデンだけでほそぼそと使われていた歴史を持つ。

 各国にガンマ・ナイフの活用性が知られたのは80年代になってから。日本に導入されたのは90年である。96年4月から保険適用になり、定位的放射線治療装置として普及が進んでいる。定位とは病変の位置を正しく定めるという意味。

 普及が進んでいるといっても高価なため国内への導入は今のところ49台(05年8月現在)にとどまっている。最新型はAPS装置が搭載され、目標部への移動を自動的にできるようになっている。旧型は手動式だった。照射精度も0・5ミリ単位から0・1ミリ単位まで向上している。

 ガンマ・ナイフが威力を発揮しているのは脳腫瘍、脳動静脈奇形などの治療。直径3センチ以内の脳動静脈奇形の3年後治癒率は60~90%前後と高い。最近では三叉(さんさ)神経痛、パーキンソン病、てんかん、頭痛治療などにも使われている。

 治療時間は30分から1時間前後。入院は3日間ですむ。患部を直接摘出して病変を除去しているわけではないので、数週間から数カ月、MRIなどの画像診断で経過観察が必要になる。

 【医学ジャーナリスト小野隆司】

 ◆脳外科か放射線科か ガンマ・ナイフはコバルト60という放射線を使うため脳外科だけで扱えない。そこでどこの科で管理するかが問題になる。もめるケースが多く、組織が大きい病院ほどガンマ・ナイフが導入しにくいという裏事情もある。

July 18, 2006 03:33 PM

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