2006年07月13日
ハイテク医療最前線
【第3回】厚労省承認が普及ハードル/医誠会病院ロボット手術センター堀田隆久所長
手術ロボット(3)
人間以上の技術を発揮し体への負担を減らす手術ロボット。将来的には主流になると誰もが予想している。しかし現状での普及となるとハードルがいくつかある。最も大きな問題は医療器具として厚生労働省の承認がいつ下りるかである。
内視鏡下手術ロボットとしてダビンチ、ゼウスの2種類が導入されているが、保険適応の申請が可能になるまでは、医師の裁量で利用する形になっている。承認には安全性などのデータが必要なため、導入している医療機関では治験という形で手術例を積み重ねている。
日本でいち早くゼウスを導入し国内有数の手術実績を持つ医誠会病院(大阪市)の堀田隆久ロボット手術センター所長は、現状について次のように説明する。
「ダビンチは3億円以上、ゼウスも2億円はします。手術に使うメスなどの部分は消耗品ですが、これも結構値段が高い。治療費が高いと患者さんが二の足を踏みます。今のままでは手術ロボットの長所は分かっていても導入する医療機関は限られます」。
医誠会病院の場合、従来の内視鏡下手術と同じ費用を設定しているが、採算が取れるわけではない。ダビンチ、ゼウスの2種類を導入している九州大学医学部付属病院では4歳児の外科手術も行っているが、研究費の名目で実施することが多い。治験が終わったダビンチでは全額自己負担となり、手術費用は最低でも50万円以上かかる。
「医療器具として承認されることが普及につながることは間違いありません。技術革新のスピードが早いので承認されたころは、新しい手術ロボットが出現している可能性もあります」。
医誠会病院でも01年2月に導入したゼウスをその年の11月に新型に切り替えている。
手術ロボットは遠隔医療への期待も大きい。海外では米国ニューヨークにいる外科医チームがゼウスを使いフランスのストラスブールにいる患者の胆のう摘出手術に成功している。
「将来的には手術装置さえあれば高齢者施設内での手術も可能になるでしょう。ただ現状では普及スピードは不透明としかいえません」と堀田所長は分析する。
【医学ジャーナリスト小野隆司】
◆承認待ち ダビンチは慶応大学病院、九州大学病院での臨床試験を終了し、厚生労働省の承認待ちの状態。福岡市、北九州市ではロボット開発・実証実験特区となっていて、ロボット手術を行った費用の内、基礎的な診療部分については特定療養費として保険給付の対象(3割負担)にしている。
July 13, 2006 10:34 AM
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