健康連載ブログ

2006年07月10日

この病気にこの名医Part2

【第179回(最終回)】転移しやすいメラノーマ/虎の門病院大原国章部長

皮膚がんの治療(下)

 皮膚がんの中で、最近増えているのが「メラノーマ(悪性黒色腫)」。紫外線の害から体を守るメラニンという黒い色素を作り出す細胞・メラノサイトががん化したもので、皮膚がんの中では最も恐れられている。かつては足とか手を切断したからである。今は切断はほとんどない。

 怖いメラノーマはそのものが黒く、その周囲にしみができて徐々に大きくなる場合は要注意。全身にできるが、日本人の場合は特に足の裏とつめに30%、10%と多い。「つめが黒くなっているだけなら早期です。それが外にシコリが出てくるようになると進行がんです」と、虎の門病院(東京・港区)皮膚科の大原国章部長は言う。

 診察は問診、視診。視診にはホクロの状態がよく分かる「ダーモスコピー」という10倍の拡大鏡が使われ、確定診断に結び付く。「転移しやすいがんなので、疑いのある場合はPET(陽電子放射断層撮影)、CT(コンピューター断層撮影)で調べます」。
 治療の基本は手術。がんの端から1~2センチ離して切除する。やり過ぎた手術を行わないために、センチネルリンパ節生検が行われている。センチネルとは見張り番の意味。「最初に転移するセンチネルリンパ節にがん転移がなければ、それ以上リンパ節を郭清(かくせい=切除)しません。ただ、問題なのはメラノーマは血行性転移(血液に乗って転移)もある点です」。

 リンパ節転移があると、リンパ節郭清以外に化学療法、免疫療法(インターフェロン)などが行われているものの、有効率は低い。

 メラノーマも怖いが、もう1つの皮膚がん「パージェット病」も怖い。「陰部にできるがんなので、患者さんは受診したがらないのです。そして、湿疹(しっしん)程度に思っています。受診するときも、皮膚科ではなく、泌尿器科や婦人科へ行く人が多く、それらの科の先生は専門医ではないので、皮膚がんの診断に結び付かないことが多いのです」。患部が陰毛に隠れているので見づらく、組織を採って調べる「生検」で診断を確定する。
 皮膚は表面から表皮、真皮、皮下組織からできているが、その表皮にがん細胞がとどまっていると早期がんだが、真皮にがん細胞が入り込むとリンパ節、さらに肺へと転移してしまう。転移がないと治療の基本は手術で、太ももから皮膚を植皮する。転移していると化学療法と放射線療法となるが、効果の低いのが現状である。(おわり)

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆皮膚がんの名医
 ▼川崎病院(岡山市)皮膚科・荒川謙三部長
 ▼高松赤十字病院(香川県高松市)皮膚科・池田政身部長
 ▼熊本大学医学部付属病院(熊本市)形成・再建科・石原剛講師

July 10, 2006 11:39 AM

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