2006年07月09日
この病気にこの名医Part2
【第178回】有棘細胞がんには手術基本/虎の門病院大原国章部長
皮膚がんの治療(中)
皮膚がんの中で最も多いのが「基底細胞がん」。それに次ぐのが「有棘(ゆうきょく)細胞がん」。紫外線の影響の大きいがんとあって、顔にできることが多い。皮膚の表面の深い部分の有棘細胞の性状に似たがん細胞なのでその名称がついた。
「紫外線の影響ばかりではなく、深いやけどをほっておいたり、傷あとから20年、30年たってがんになります。放射線を照射した皮膚炎からもがんになります」と、皮膚がん治療の第一人者、虎の門病院(東京・港区)皮膚科の大原国章部長。「今日ではやけどでケロイド状態になったのをほっておくことはありませんから、やけどからがんになるのは減っています。また、放射線をあざや結核に照射した時代もあったのです。今はそんなことは行いませんので、これも減ってきました」。
有棘細胞がんはあたかもイボなどのように盛り上がり、やがて大きくなる。形はイボのようにすっきりした形ではなく、ガサガサして盛り上がり、潰瘍(かいよう)になることもある。ただ、基底細胞がんがほとんど転移しないのに比べ、有棘細胞がんはリンパ節、肺などに転移する。
「有棘細胞がんは前段階として『日光角化症』や『ボーエン病』があります。日光角化症は顔にできます。ボーエン病は顔、手のみならず、胸などいろんなところにできます。前がん状態なのできちっと切除すれば問題はありません」。
日光角化症は5個とか10個とか、何個もできるので切除するのは大変である。「抗がん剤の軟こうを塗るのがスタンダードです。このほか、炭酸ガスレーザーで焼いたり、ケミカルピーリングで皮膚を薄くはがすのも有効です。臨床中の治療方法としてはがん細胞に多く吸収される薬を塗り、その後、レーザーを照射すると活性酸素によってがん細胞がたたかれる『光線力学療法』があります」。
有棘細胞がんの診察は、視診から始まる。見て疑わしいと組織を採って調べる「生検」を行い、病理学的にがんをチェックする。さらに、超音波検査、CT(コンピューター断層撮影)検査で切除範囲を決めるとともに、転移が疑われるときはリンパ節などを調べる。「有棘細胞がんの治療の基本は手術です。がんが大きいので患部を切除後、植皮になるケースが多くなっています」。
このほか、化学療法、放射線療法も効果が高い。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆皮膚がんの名医
▼富山県立中央病院(富山市)皮膚科・八田尚人部長
▼京都府立医科大学付属病院(京都市上京区)皮膚科・岸本三郎教授
▼兵庫県立成人病センター(兵庫県明石市)皮膚科・熊野公子部長
July 9, 2006 10:41 AM
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