2006年06月12日
この病気にこの名医Part2
【第151回】「痛くて怖い」から「やさしい」に変ぼう/大和徳洲会病院望月高行部長
慢性副鼻腔炎の治療(下)
慢性副鼻腔(びくう)炎の治療は「保存療法」と「手術療法」が行われる。保存療法とは局所治療と薬物療法だが、それで効果がないと手術療法が選択される。また、大きな鼻茸(はなたけ)ができている場合も手術になる。
手術となると、昔から行われている「副鼻腔根本手術」を思い描き、手術選択に二の足を踏む人がいる。「確かに、かつての手術は犬歯窩(けんしか=歯ぐき)を切開して、根こそぎ病変をはがす手術でした。患者さんの体への負担ということでは大変だったと思います」と、かつての手術法を説明するのは、大和徳洲会病院(神奈川県大和市)耳鼻咽喉科の望月高行部長(横浜市立大学医学部非常勤講師)。
今は内視鏡を使った「内視鏡下鼻内副鼻腔手術」が行われている。「腫れた粘膜をすべて除去しなくとも、空洞をつくって副鼻腔の換気を良くすれば、あとは内服治療を併用することで自然に粘膜の炎症も治まることが分かったからです」。
手術は内視鏡を鼻の孔(あな)から挿入する。鼻腔には屋根のひさしのように鼻甲介があり、それが3層になっている。その中段と下段の中鼻甲介と下鼻甲介の間から篩骨洞(しこつどう)へ抜ける。開ける孔は直径1センチくらい。そして、篩骨洞から前上方は前頭洞(ぜんとうどう)、外側は上顎洞(じょうがくどう)、さらに奥に蝶形骨洞(ちょうけいこつどう)と空洞を開放していく。
「副鼻腔の空洞はハチの巣のように細かく、周囲には視神経や脳があるので、内視鏡を使いながらすべての副鼻腔に孔を開けて空洞を確保するのは、決して簡単ではありません」。経験と技術が大きく手術結果を左右する。
内視鏡下手術になったことで、入院期間が非常に短くなり「日帰り手術」も十分可能となった。「私どもの施設は日帰り手術を積極的に勧めてきました。今まで左右2回や場合によって3回に分けていた複合手術を1回の手術で終了するため、積極的に全身麻酔下での手術を導入しました。完全な除痛が図れ、患者さんの負担も少なく手術がスムーズに行われます。遠方からの患者さんも多く、すべての患者さんが午前中に手術が終了できないため、最近では最初から短期滞在手術(ショートステイサージャリー)で2泊から3泊の入院をお勧めしています」。
とまれ、「痛くて怖い」が知れ渡っていた慢性副鼻腔炎の手術が、日帰りも可能な体にやさしい手術に変ぼうしたのである。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆慢性副鼻腔炎(内視鏡下副鼻腔手術)の名医
▼三重大学医学部付属病院(三重県津市)耳鼻咽喉・頭頸部外科・間島雄一教授
▼兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)耳鼻咽喉科・深沢啓二郎助教授
▼鷹の子病院(愛媛県松山市)耳鼻咽喉科・比野平恭之部長
▼佐藤クリニック(大分市)佐藤公則院長
▼熊本大学医学部付属病院(熊本市)耳鼻咽喉科・湯本英二教授
June 12, 2006 09:21 AM
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