健康連載ブログ

2006年06月14日

この病気にこの名医Part2

【第153回】治療後20年でも転移はある/東京医科歯科大付属病院木原和徳教授

腎臓がん(下)

 腎臓がんは、ちょっと不思議ながんである。一般的にがんは治療してから再発することなく5年経過すると「完治」とされる。乳がんの場合は10年と多少の違いはあるものの、多くは決着がつく。それなのに、腎臓がんは-。「腎臓がんは治療後、10年、20年たっても完治とは言いません。長い時間が経過してから転移したがんが骨とか肺から出てくるのが現実です。それを私たちは患者さんから教えられるのです」と、腎臓がん治療で有名な東京医科歯科大学医学部付属病院(東京・文京区)泌尿器科の木原和徳教授は言う。この大きな特徴は、腎臓がんの治療での問題点にもなっている。

 もちろん、腎臓がんにならないのがベストなのだが、なかなかそうはいかない。ただ、腎臓がんの多少のリスクは分かってきているので、そのリスクを除くように努める必要がある。

 ▼たばこは発がん物質が多いので禁煙を。
 ▼高血圧は腎臓を悪化させるので、高血圧の人は治療をしっかりと。
 ▼鎮痛解熱薬をよく服用するのは腎臓に負担を掛けるので、注意しよう。
 ▼脂肪分を多く取ると腎臓を悪化させる。

 そして、今日、糖尿病患者・予備軍合わせて1620万人時代とあって、糖尿病から透析に移行する人が最も多く、年間1万人を超えている。「『透析を受けている人は、一般の人に比べて腎臓がんになりやすく(10~40倍)』、さらに透析を10年以上続けると、10年未満の人よりも3倍腎臓がんになりやすいのです。ですから長期の透析患者さんは一般の人よりはるかに高率に腎臓がんになる危険が高いと言えます」。
 糖尿病はしっかり治療し、透析に進まないようにするべきである。それでも、腎臓がんになった場合は、がんの進行度によって、以下の4段階に分けられる。

 ◆1段階(T1) 腎臓内にがんがとどまり、がんの最大直径が7センチ以下。
 ◆2段階(T2) 腎臓内にがんがとどまり、がんの最大直径が7センチを超えている。
 ◆3段階(T3) 腎臓からがんが外に広がった状態。その範囲は腎臓のごく周囲の脂肪組織や副腎、腎静脈まで。
 ◆4段階(T4) 腎臓からがんが3段階以上に広がった状態。

 このような腎臓での発育のほかに、リンパ節や遠くの臓器に転移して進行がんとなる。治療に向けては、検査で状況をしっかり把握することが重要となる。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆腎臓がんの名医
 ▼虎の門病院(東京都港区)泌尿器科・小松秀樹部長
 ▼国立がんセンター中央病院(東京都中央区)泌尿器グループ・藤元博行医長
 ▼横浜市立大学医学部付属病院(横浜市金沢区)泌尿器科・窪田吉信教授
 ▼金沢大学医学部付属病院(石川県金沢市)泌尿器科・並木幹夫教授

June 14, 2006 10:24 AM

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