2006年05月24日
この病気にこの名医Part2
【第132回】遺伝的要因も/大和徳州会病院中村勝利部長
多汗症(上)
「スポーツの熱い戦いを見ているわけではない」「自分自身が激しいスポーツを行っていたわけでもない」「じっとしていても汗をかくほど暑い日ではない」…なのに手のひら、足の裏にビショビショ汗をかいている。そのため「握手ができない」「フローリングの床に足跡がつく」「げたを履くと足の形が残る」「試験中には答案用紙が汗でぬれて破れてしまう」など、汗が原因でさまざまなことが起こり、悩んでいる人は多い。
「単なる汗かきを超えたこのような状態は『多汗症』という病気です。手が常にぬれているとあって、演奏に支障が出る人もいます。職業選択の自由があっても、多汗症のために職業が絞られてくるケースが少なからずあるのです」と、大和徳洲会病院(神奈川県大和市)心臓血管外科の中村勝利部長は指摘する。
汗のメカニズムは「温熱性発汗」と「精神性発汗」の2つに分けられる。温熱性発汗は体温が上昇して高くなったときに、汗を出して体温を調節する生理現象。汗が蒸発するときに体の熱を逃がすのである。一方、精神性発汗は体温とは無関係で精神的興奮によって起こる。
「多汗症の場合は精神性発汗と同じように手のひら、足の裏、脇の下、額などに汗をかきます。しかし、精神的要因は2次的で、多汗症の人は汗を出す体の仕組みに異常が起こっているためです」。
汗のメカニズムは脳の視床下部から信号が出され、自律神経でコントロールされている。自律神経は人間の意志と関係なく働いている内臓の機能などを調節している神経。これには活動しているときに優位になる交感神経と、リラックス時や睡眠時に優位になる副交感神経がある。発汗は交感神経の働きによるものである。
「多汗症の人は、交感神経の反応が強く過敏なために起こっているのは分かっているのですが、なぜそうなるのか分かっていません。ただ、親子で多汗症が現れるケースも少なくないので、遺伝的要因もあると考えられています」。まだ、多汗症のメカニズムには不明な点の多いのが現状である。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆多汗症の名医
▼筑波大学付属病院(茨城県つくば市)呼吸器外科・山本達生講師
▼塩谷ペインクリニック(東京都目黒区)塩谷正弘院長
▼東京医科歯科大学医学部付属病院(東京都文京区)血管外科・岩井武尚教授
▼NTT東日本関東病院(東京都品川区)ペインクリニック科・大瀬戸清茂部長
May 24, 2006 11:42 AM
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