健康連載ブログ

2006年05月20日

この病気にこの名医Part2

【第128回】他臭症と自臭症/日大歯科病院後藤実助教授

口臭症(上)

 においを消す消臭剤があるかと思えば芳香剤もある。香りでリラックス効果を導くものもあれば、口臭で悩んで登校拒否にまで至ってしまうケースもある。「口が臭いと悩むのは『口臭症』という立派な病気です」と、口腔(こうくう)心身症の治療で活躍する日本大学歯科病院(東京・千代田区)口腔診断科の後藤実助教授は言う。

 「口臭症は1つではなく、他臭症と自臭症の2つに分類されます。他臭症は他人から口臭を指摘されて気になり始め、それが普通よりも過剰になった状態です。一方、自臭症は周囲の人は気付かないのに、自分自身で口臭がすると思い込んで悩んでしまうケースです」。

 他臭症と自臭症。

 ある営業マンのケースは他臭症だった。付き合っていた彼女から「ときどき息が臭いことがあるよ。営業だから、もっと気を付けないと成績落ちちゃうよ」と何げなくアドバイスされた。が、彼にとって大事な彼女からの口臭の指摘に大きなショックを受けた。

 彼は朝食前、後、昼食後、夕食後、就寝前と1日5回も歯磨きをするばかりか、それだけ磨いても「まだ口がにおうのでは」と悩み、口腔診断科を受診。「まずは、口臭の原因をしっかりと突き止めることです。彼の場合は歯並びが悪い上に詰め物が上手にできていなかったのです。だから、1日に5回磨いても歯間に食べカスが残り、そこからにおいが出ていたのです」。

 原因を突き止めて、そこを改善することで、この他臭症は一件落着。一方、自臭症で悩むのはリーダー格の人に多い。あるメーカーの営業部長のケース。部長はある日の会議でも、いつものように部員に話をしていた。そのとき、隣にいた次長がスーッと顔を横に向けたのである。

 部長はそれを見逃さなかった。「おれの口臭で次長は耐えきれず横を向いた」と思い込んでしまった。「部長さんのような自臭症の方々の特徴は、口の中はきれいで性格的には潔癖症できちょうめん、清潔好きで責任感が強いのです。そして、自意識が過剰で対人関係も過敏です」。

 他臭症と自臭症。問題なのは心の問題が大きく関係する自臭症である。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆口臭症の名医
 ▼岩手医科大学歯学部付属病院(岩手県盛岡市)歯科口腔外科・石橋寛二教授
 ▼東北大学歯学部付属病院(仙台市青葉区)予防歯科・岩倉政城助教授
 ▼東京歯科大学千葉病院(千葉市美浜区)口臭外来・角田正健助教授
 ▼日本大学歯学部付属歯科病院(東京都千代田区)口腔診断科・後藤実助教授、心療歯科・小池一喜助教授

May 20, 2006 08:48 AM

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