2006年05月18日
この病気にこの名医Part2
【第126回】手術以外の方法はない/執行クリニック執行友成理事長
鼠径ヘルニアの治療(上)
日本人の100人に1人は鼠径(そけい)ヘルニアがあるといわれているが、年間の手術数は約15万件。ところが、米国では80万件といわれている。「日本人は場所が太ももの付け根の鼠径部とあって恥ずかしくて受診しない方も多いようです」と、鼠径ヘルニアの手術を数多く行ってきた執行クリニック(東京・新宿区)の執行友成理事長はいう。
しかし、ほっておいて鼠径ヘルニアが自然治癒することはない。逆に、嵌頓(かんとん)ヘルニアを引き起こして緊急手術になり、下手をすると生死にかかわるリスクにさらされている。それがあって、鼠径ヘルニアの場合は診断がつくと手術が勧められる、それ以外に治療法がないということもある。
手術は大きく分けて3種類。「従来法の手術」「腹腔(ふくくう)鏡下手術」「メッシュ法」である。
◆従来法の手術 太ももの付け根に当たる下腹部の皮下へおなかの中にある腸管などが腹膜の袋に包まれて、ある孔(あな)から飛び出してくるため、その孔を周囲の筋肉を引き寄せて縫い合わせてふさぐ方法。「この場合は『入院期間が1週間と長い』『術後に痛みがある』『再発率が15%と高い』といった問題があります。今は極めて少ない治療法になってしまいました」。
◆腹腔鏡下手術 腹部に小さな孔(あな)を3カ所にあける。へその下の腹腔鏡を入れるところだけは10ミリ幅の孔で、あとの2つの孔は5ミリ。腹腔鏡からモニターに映し出された腹腔内を見ながら手術を行う。脱出部を腹腔内からポリプロピレン性のメッシュで閉鎖固定をして補強する。「全身麻酔下で行わねばならない」「手術時間はメッシュ法が15分程度に対し、約1時間かかってしまう」と、傷が小さいというメリットはあっても、デメリットが意外に多くある。
◆メッシュ法 ポリプロピレン製のメッシュを使う治療法。「日帰り手術で行えるほど患者さんの体に優しい治療で、再発率も全世界で3%と良好な成績です」
。
メッシュ法には「リヒテンシュタイン法」「メッシュ&プラグ法」「クーゲル法」「PHS(プロリン・ヘルニア・システム)』などがあり、今日の鼠径ヘルニア手術の中核となっている。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆鼠径ヘルニアの名医
▼市立四日市病院(三重県四日市市)外科・蜂須賀丈博手術部長
▼多根総合病院(大阪市西区)外科・丹羽英記副院長、刀山五郎部長
▼楽クリニック(和歌山市)藤田定則院長
May 18, 2006 12:14 PM
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