健康連載ブログ

2006年05月16日

この病気にこの名医Part2

【第124回】男性が85%を占める/執行クリニック執行友成理事長

鼠径ヘルニア(上)

 病名に「ヘルニア」という名称がついているものといえば、多くの人は「鼠径(そけい)ヘルニア」と「椎間板(ついかんばん)ヘルニア」を思い浮かべる。ヘルニアとは「突出する」などの意味。つまり、体の組織が本来あるべき場所からはみ出してしまった状態をいう。

 椎間板ヘルニアは、脊椎(せきつい)の1つの骨のブロックである椎体と椎体の間に、クッションの役割をする椎間板があり、その中心部はゼリー状の髄核、その髄核が突出して神経を圧迫する疾患。一方、今回取り上げる鼠径ヘルニアは、いわゆる「脱腸」のことである。太ももの付け根の部分(鼠径部)には鼠径管という管が腹腔(ふくくう)と外を結んでいる。この管の中を、男性では「精索(せいさく)」が通っている。精巣で作られた精子はこの管を通って腹腔内に入り、そこから尿道を経て射精される。

 「もともと精巣は腹部の背中側についていたものが下へ下へと降りて、ポケット状の袋をつくる。出生時には腹腔内と外が閉じられてしまいます。女性では、この管の中を子宮を支える『子宮円靭帯(じんたい)』が通っています。その構造上、女性より男性がなりやすく、男性が85%を占めるといわれています」と、執行クリニック(東京・新宿区)の執行友成理事長は説明する。

 子供に多いヘルニアは腹腔内と外が十分に閉じられないケースがあり、内臓、特に小腸などが突出してくる。それに対し、大人の場合は、基本的に腹壁のその弱い部分が、加齢などでより弱くなって腹膜が袋状に突出してくる。年齢的には40代以降で、それ以外に次の人々がなりやすい。「立ち仕事の人」「重い物を持ち上げることの多い人」「せきをよくする」「妊娠している」「便秘症の人」「太っている人」など。「男性の場合は小腸のみならず、大腸や脂肪組織の大網(だいもう)も出て、陰嚢(いんのう)が大きく膨れ上がった人もいます。女性では卵巣などが脱出することもあります」。

 脱出しても戻り、また、脱出してそのままでもQOL(生活の質)は悪くなるが生死にかかわることはない。ただし-。「脱出した内臓を締め付ける『嵌頓(かんとん)ヘルニア』になると激烈な痛みとなり、小腸が腐ると生命を落としかねません」。そのようなことにならないためにも、鼠径ヘルニアでは手術が勧められるし、手術しか治療法がないのである。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆鼠径ヘルニアの名医
 ▼みやざき外科・ヘルニアクリニック(札幌市中央区)宮崎恭介院長
 ▼執行クリニック(東京都新宿区)執行友成理事長
 ▼九段下D・S・マイクリニック(東京都千代田区)松橋亘院長

May 16, 2006 11:11 AM

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