健康連載ブログ

2006年05月06日

この病気にこの名医Part2

【第115回】心身医学的アプローチ必要/日大板橋病院村上正人科長

線維筋痛症の治療(下)

 原因不明の痛みに苦しめられる「線維筋痛症」。全身の筋肉や関節のあちこちが痛み、最終的診断を決定づけるのは「痛みが3カ月以上続いている」に加え、医師が「全身に18カ所ある圧痛ポイントのうち、11カ所以上が痛む」と線維筋痛症と診断される。

 もちろん、ほかの疾患のないことをしっかりと鑑別診断済みである。ここから治療がスタートする。

 ●薬物療法

 まず、治療は「薬物療法」。「痛みがあると普通は消炎鎮痛薬を処方します。ところが、線維筋痛症の痛みは炎症があって起きているのではありません。患部は熱を持っているというより、逆に冷たいのです」と言うのは、線維筋痛症を15年以上も治療している日本大学医学部付属板橋病院(東京・板橋区)心療内科の村上正人科長。

 そこで処方されるのが「抗うつ薬」「抗けいれん薬」「漢方薬」。抗うつ薬は痛みを抑え、落ち込んだ気分を高進させるためにも適している。重症のケースでは新しい抗うつ薬の「SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)」や「SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)」が主に使われる。ノイトロピンという薬が有効なケースもある。

 抗けいれん薬は筋肉がけいれんしたりして筋肉への血流の低下を改善するために使われる。痛みの場所が「冷えている」状態の改善に結び付くのである。「漢方薬も処方します。更年期障害のような症状も多いので、自律神経のバランスを改善するために使います」。

 ●生活指導

 患者は心療内科を受診するまでに平均36カ月間かかっている。長い期間、苦しくつらい状況に置かれている。だから、痛みをとる対症療法のほかに、心もいやしていく必要がある。「心身医学的アプローチが必要なのです。それが『心理療法』と『リラクゼーション』で生活指導の1つです」。心理療法では認知行動療法が最も良いとされ、リラクゼーションでは呼吸法やマッサージなどを行う。

 このほかに「運動療法」がある。「反動をつけるような体操は痛みを起こすので、ゆったりした動きの太極拳、ヨガ、気功などの類がいいと思います。お風呂で体を温めるのも良い、39度くらいのお風呂にゆっくり入るのがいいでしょう」。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆認知行動療法
 ストレスに対する対応の悪い習慣があるのを修正し、よりよい思考・行動パターンを身につける治療方法。

 ◆線維筋痛症の名医
 ▽行岡病院(大阪市北区)行岡正雄理事長
 ▽広島県立身体障害者リハビリテーションセンター(広島県東広島市)整形外科・戸田克広医師
 ▽九州大学病院(福岡市東区)心療内科・久保千春教授

May 6, 2006 12:49 PM

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