2006年05月02日
この病気にこの名医Part2
【第111回】活性化した白血球を除去/慶応大学病院日比紀文教授
潰瘍性大腸炎の治療(下)
潰瘍(かいよう)性大腸炎は原因不明の大腸の炎症で「下痢、粘液便、粘血便」の主症状が悪化したり良くなったりを繰り返す。
治療は薬物療法が中心となるが、それだけでは十分にコントロールできない時や、QOL(生活の質)が悪いときなどは「白血球除去療法」や「手術」を考える。
●白血球除去療法 原因は不明の潰瘍性大腸炎だが、免疫異常という考え方が多い。事実、大腸で炎症が起きているときは白血球が大いに活性化している。白血球が大腸粘膜での炎症を引き起こし悪化させていると考えられる。そこで、その白血球だけを除去してしまえば炎症は抑えられるのでは、というのがこの療法である。「1週間に1回1時間、血液を体外に取り出し、フィルターを通して白血球を取り除いた後、血液を体に戻します。体外循環させるのです。1・8~3・0リットルの血液がフィルターを通ります」と、慶応義塾大学病院(東京・新宿区)消化器内科の日比紀文教授は説明する。
治療は最高10回(激症では11回)保険適用が認められており、症状を改善している。この治療法は兵庫医大前教授の故下山孝氏と前講師の沢田康史氏らが開発した方法。「発想は素晴らしいし、患者さんの症状が良くなります。ただし、まだ科学的根拠に乏しいとあって、米国、ヨーロッパでは04年6月から臨床研究が始まっており、その研究に日本からは私どもの施設だけが参加しています」。
●手術 薬物療法、白血球除去療法でもコントロールがうまくいかない場合には手術を考える。炎症を起こす大腸をすべて切除するので根本的な治療といえます。「緊急手術が行われるのは危険な状態となる次の3つの場合です。『大腸が破れた』『大量出血をした』『中毒症状が出た』ときです。少し待っても行われるのは『がんの合併した』ときなどです」。
また、内科的治療でQOLが悪いときも手術を考える。逆に、断固手術を拒否する人もいる。昔は手術は人工肛門(こうもん)になっていたが、今は大腸すべてを切除後、小腸で「回腸嚢(のう)」をつくって大腸の代わりとするため肛門はそのままである。「平均寿命は普通の人と全く変わりありません」という時代が到来している。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆潰瘍性大腸炎の名医
▽兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)下部消化管内科・松本誉之教授
▽沢田医院(奈良県香芝市)沢田康史副院長
▽九州大学病院(福岡市東区)第2内科・飯田三雄教授
May 2, 2006 11:57 AM
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