2006年05月01日
この病気にこの名医Part2
【第110回】基本は薬と食事/慶応大学病院日比紀文教授
潰瘍性大腸炎の治療(上)
的確な「除外診断」で、潰瘍(かいよう)性大腸炎と診断されると、治療が始まる。多くは適切な治療で軽快し、難病とはいえなくなってきた。
治療の基本は「薬物療法」と「食事療法」で、その薬物療法の効果が弱いといったときには、バックアップとして「白血球除去療法」などが行われる。そしてそれでも効果が得られないといった段階となると「手術」が選択されることになる。
●食事療法 「症状が強い活動期には、脂肪の少ない良質のタンパク質である白身魚や大豆、卵を取ります。欧米型食生活によって病気が増えてきたと考えられており、脂肪や消化の悪いものは避けて体力維持を心掛けるのが大事です」とアドバイスするのは、慶応義塾大学病院(東京・新宿区)消化器内科の日比紀文教授。香辛料やコーヒーなどの刺激物は急性期には避ける。お酒も禁酒である。ただ、活動期から緩解期になると、食生活を厳しく制限することはなく、普通の人と同じようにバランスの良い食事を心掛ければ良い。
●薬物療法 薬物療法は「5-ASA製剤」「ステロイド(副腎皮質ホルモン)薬」「シクロスポリン」などが使われる。「基本となるのは5-ASA製剤で、炎症を抑えます。ただ、炎症が強い活動期には効果が強いステロイド薬を使います」。ステロイド薬にも経口薬のほかに、点滴、座薬、注腸薬などがあり、それらのタイプを工夫して使い分ける。「緩解期をより長く維持するためには、免疫抑制剤の6MPやアザチオプリンなどが使われることがあります」。最近は基本薬として5-ASA製剤の「メサラジン製剤」が使われている。これは直接に炎症を抑えるのみならず、炎症が再び燃え上がる再燃を抑える働きもある。副作用が少ないのもよく用いられる理由であろう。
「患者さんは普通の人と同じような生活がしたいと希望されています。根本的な治療はなくてもQOL(生活の質)を良くすることはできます。私たちは、QOLの向上を第1に考えています」。そして、薬の効果が弱いときは、白血球除去療法や手術も視野に入れることとなる。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆潰瘍性大腸炎の名医
▽横浜市立市民病院(横浜市保土ケ谷区)外科・杉田昭部長
▽北野病院(大阪市北区)消化器内科・伊藤裕章部長
▽関西医科大学付属滝井病院(大阪府守口市)消化器肝臓内科・岡崎和一教授
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
May 1, 2006 11:08 AM
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