健康連載ブログ

2006年04月29日

この病気にこの名医Part2

【第108回】下痢・血便・粘血便が主症状/慶応大学病院日比紀文教授

潰瘍性大腸炎(上)

 患者がひたすら減少していく疾患があれば、逆に患者が右肩上がりに増えている疾患もある。潰瘍(かいよう)性大腸炎の患者は現在8万人を超えている。患者数が多くなっている「特定疾患」、いわゆる難病に指定されている疾患である。「潰瘍性大腸炎は直腸の粘膜に炎症が起きる人、また直腸から大腸全体に炎症が起きる人など、炎症の起きる範囲には多少の違いはあっても、基本的には大腸に炎症が起きて潰瘍までも引き起こす病気をいいます」と、潰瘍性大腸炎、クローン病の診断・治療で知られる慶応義塾大学病院(東京都新宿区信濃町)消化器内科の日比紀文教授はいう。

 炎症は直腸から上へと向かうことが多いので、炎症の範囲で大きく3タイプに分類されている。

 ◆直腸炎タイプ 直腸だけに炎症、潰瘍が限局している。

 ◆左側(さそく)大腸炎タイプ 下から、直腸、S字結腸、下行結腸に炎症、潰瘍ができる。これらは体の左側にある。

 ◆全大腸炎タイプ 盲腸も含めて大腸全体に炎症、潰瘍ができる。

 「大腸の働きには水分吸収、便通調節が大事ですが、それが障害されてしまうので、下痢を引き起こします。回数が多くなるばかりか、突然の便意に襲われることもあり、腹痛、腹部不快感もあります」。さらに、粘膜が障害されるので下血も起こし、症状が重症化すると貧血、体重減少、倦怠(けんたい)感がでてくる。「下痢、血便、粘血便が主症状です」。20代の人々に多いものの、どの年代でも発症する病気である。

 これほど患者が増えたことに対して、膠原(こうげん9病などのように、原因を「免疫異常」と考える研究者は多い。免疫は外敵の侵入に対してそれをたたいて自己防衛する働きだが、何らかの異常で自分の体をたたいてしまうのである。このほか、欧米などにはこの病気で苦しむ人の頻度が日本の5~10倍にものぼるとあって、欧米型の食事などもあげられている。が、それもまだ解明されてはいない。原因は分からないので根本的治療がない。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆潰瘍(かいよう) 炎症は粘膜にできた赤いびらん状態。皮膚に起きた擦り傷のようなもの。潰瘍は大腸の壁面の粘膜のみならず、さらに深部までただれが及んだ状態。

 ◆潰瘍性大腸炎の名医
 ▽旭川医科大学付属病院(北海道旭川市)第3内科・高後裕教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)第1外科・佐々木巌教授
 ▽新潟大学医歯学総合病院(新潟市)第1外科・畠山勝義教授
 ▽東邦大学医学部付属佐倉病院(千葉県佐倉市)内科・鈴木康夫助教授

April 29, 2006 11:20 AM

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