健康連載ブログ

2006年04月16日

この病気にこの名医Part2

【第95回】ワン・フィンガー、ツー・ハンド/東京逓信病院江藤隆史部長

アトピー性皮膚炎の治療(下)

 「アトピー性皮膚炎とステロイド外用薬」と聞くと、恐怖心を持ってしまう人が今でも多い。「皮膚が黒くなる」「皮膚が象のように厚くなる」…。「これらはすべて誤りです!」と、東京逓信病院(東京・千代田区)皮膚科の江藤隆史部長は強く言い切る。

 「ステロイド外用薬の長期使用は皮膚が黒くなったり、厚くなったりするどころか、むしろ白く薄くなるのです。ステロイド外用薬の副作用と思っていらっしゃるもののほとんどは、実はステロイド外用薬の塗り方が間違っているからです」。

 正しい塗り方は「ワン・フィンガー、ツー・ハンド」。大人の人さし指の第1関節まで軟こうをとった量が約0・5グラム。この量は大人の手のひら2つ分の面積を塗る適量なのである。(これをFTU=フィンガー・ティップ・ユニットと呼ぶ)。「つまり5グラムのチューブ1本で手のひら20個分の皮膚に塗ることができるのです。結構な量を塗りますから、患者さんを励ましてあげなければなりません」。

 このように正しく塗ると、炎症の赤みは4~5日でほとんど改善する。それ以降は医師の指示通りに徐々に塗る量を減らしていくようにし、上手にコントロールをする。

 それでも、塗り薬による局所的副作用が起きることがまれにある。それはホルモンの関係で起きるニキビ、多毛症、酒さ様(しゅさよう)皮膚炎、毛細血管拡張、皮膚委縮などである。「軟こうの量を適切に使えばアトピーの症状は必ず良くなりますし、そのような副作用が出てしまったときにも、きちっと対処ができます。逆に不十分な塗り方を続けてのアトピーの悪化や、脱ステロイド療法で起きるヘルペスやとびひなどの方が重症化します」。

 また、ステロイド外用薬の副作用ではなく、アトピーの目の合併症として白内障は若い年代から起こる。その手術をしたときにアトピーのコントロールをしっかりしないと網膜剥離(はくり)を起こすケースが多かった。「手術後に目の周囲を強くこすったりたたいたりしたのが原因でした。それが、コントロールをしっかり行うことで網膜剥離がグッと減っています」。

 アトピーは完治よりも「上手に付き合う」と考えて治療をすべきなのである。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆アトピー性皮膚炎の名医
 ▽和歌山県立医科大学付属病院(和歌山市)皮膚科・古川福美教授
 ▽県立広島病院(広島市南区)皮膚科・高路修部長
 ▽産業医科大学病院(北九州市八幡西区)皮膚科・戸倉新樹教授
 ▽九州大学病院(福岡市東区)皮膚科・古江増隆 教授
 ▽長崎大学医学部・歯学部付属病院(長崎市)皮膚科・佐藤伸一教授

April 16, 2006 10:39 AM

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