2006年04月15日
この病気にこの名医Part2
【第94回】ステロイド薬の使い分け必要/東京逓信病院江藤隆史部長
アトピー性皮膚炎の治療(上)
アトピー性皮膚炎と診断がつき、さらに重症度も判定されると治療がスタートする。日本皮膚科学会は2000年に「アトピー性皮膚炎治療のガイドライン」を作成。「薬物療法」「悪化要因の検索と対策」「スキンケア」を治療の3本柱と位置付けている。
「3本の柱は互いに支え合って治療効果を上げます。その中で最も重要なのは薬による治療です」と言うのは、東京逓信病院(東京・千代田区)皮膚科の江藤隆史部長。
では、治療のトライアングルから、最重点の置かれる薬物療法をみていこう。「ステロイド外用薬やタクロリムス軟こうなどの塗り薬が基本ですが、補助的に抗アレルギー薬やヒスタミン薬の内服薬も使います」。ファーストチョイスのタクロリムスの場合は顔や首、ステロイド外用薬は体部。タクロリムス軟こうは99年に登場した局所免疫調整外用薬で、ステロイド薬のようなホルモン作用などによる副作用がない。「だから、ステロイド外用薬の局所副作用の出やすい顔や首に安心して塗ることができます」。
炎症を抑える強さはステロイド外用薬ではウィータ(弱い)からストロンゲスト(最強)まで5段階あるが、タクロリムスはミディアムからストロングの段階に入る。体部の場合は強い炎症をステロイド外用薬で抑え、適切なタイミングでタクロリムス軟こうに切り替えるのである。
一方、ステロイド薬は副腎から分泌される「副腎皮質ホルモン」と同じ作用を持ち、炎症や免疫の働きを制御する。重症度、使用期間、部位、年齢などを考慮してステロイド外用薬のランクを使い分ける。「体部でも重症のところがあれば軽症のところもありますので、そこでもステロイド薬の使い分けが必要です」。
医師から指導された量を適切に塗って、月に1回は診察を受けていくと、難治性であっても90%の人は改善し、アトピーと上手に付き合うことができるようになる。
改善に向かわない場合は「私どもには入院施設がありますので、糖尿病の方々のように教育入院を1週間してもらいます」。「ステロイドの副作用」「悪化原因について」「薬の塗り方」などが指導される。そして、朝夕に正しく薬を塗ることでどれだけ1週間で改善するかを体感してもらう。この体感が上手なコントロールに結び付くのである。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆アトピー性皮膚炎の名医
▽杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)皮膚科・塩原哲夫教授
▽金沢大学医学部付属病院(石川県金沢市)皮膚科・竹原和彦教授
▽浜松医科大学付属病院(静岡県浜松市)皮膚科・瀧川雅浩教授
▽藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)皮膚科・松永佳世子教授
▽京都大学医学部付属病院(京都市左京区)皮膚科・宮地良樹教授
▽大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)皮膚科・片山一朗教授
April 15, 2006 10:05 AM
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