健康連載ブログ

2006年04月05日

この病気にこの名医Part2

【第84回】羽毛布団に反応する場合も/東京医科歯科大学付属病院吉沢靖之教授

間質性肺炎(上)

 「肺炎」と聞くと、多くの人は日常の生活の中で細菌感染で起きる市中肺炎を思い描く。その場合は肺炎球菌などが原因となる。そして、炎症は、肺の最先端の酸素と二酸化炭素とのガス交換を行うブドウの房のような肺胞の内側に起きる。

 これとは原因も異なれば、炎症の起きる場所も異なる肺炎がある。間質性肺炎である。「間質性肺炎は肺胞の中ではなく、肺胞を取り囲んでいる壁(間質)に炎症が起きてきます」と解説するのは、東京医科歯科大学医学部付属病院(東京・文京区)呼吸器内科の吉沢靖之教授。「炎症部分を修復する過程で線維化が起こり、間質は厚く弾力がなくなり呼吸困難へと進んでいきます」と付け加えた。

 その炎症を引き起こす原因については、分かっているものと、分からないものがある。原因が分からないものは「特発性間質性肺炎」と呼ぶ。原因が分かっているものとして有名なのは「じん肺」。鉱物の粉を長期間にわたって吸い続けたことによる。陶器などを作ったりしていて特発性間質性肺炎といわれた人などもじん肺と考えてよい。

 「ビルの解体業の人の場合はアスベストによるケース。それと同様なのが昔、運転手をしていて自分で車のブレーキを直していた人たち。このような人々は精密検査で原因を追究していくことで分かります」。

 間質性肺炎の中には薬剤が原因の「薬剤性肺炎」、放射線治療が原因の「放射線肺炎」のほか、カビ、鳥などに対してアレルギー反応を起こす「過敏性肺炎」がある。家の中のカビに反応するのが「夏型過敏性肺炎」。「家の水回りの周囲の腐った木のカビ、『トリコスポロン』というカビを吸い込むことが原因です。最近は鳥関連の過敏性肺炎が多く、羽毛布団にも反応する人もいます」。

 このように、吉沢教授の下では原因追究が行われるため、60~70%は特発性といわれていた間質性肺炎も、今では20%まで低下した。原因を特定することで、より良い対応策がとれるのである。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆アスベスト 石綿のことで、天然の鉱物繊維。この繊維を吸い込むと、20~30年後に肺の線維化、悪性中皮腫や肺がんなどを引き起こす。「静かな時限爆弾」といわれている。

 ◆間質性肺炎の名医
 ▽札幌医科大学付属病院(札幌市中央区)第3内科・高橋弘毅教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)遺伝子・呼吸器内科・貫和敏博教授、海老原雅仁講師
 ▽福島県立医科大学付属病院(福島市)呼吸器科・棟方充教授

April 5, 2006 08:28 AM

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