2006年04月04日
この病気にこの名医Part2
【第83回】カウンセリングなどで断酒/慈友クリニック米沢宏院長
アルコール依存症の治療(下)
「アルコール依存症と診断をしますと、受診したその日から、ピタッとお酒を断つ患者さんが約40%いらっしゃいます」と、驚異的とも思われる数字を挙げるのは、慈友クリニック(東京・新宿区)精神科の米沢宏院長。それは、アルコール依存症という病気の概略と、どのような治療が必要かについて説明するからである。なぜ、酒をやめなければならないか、十分に納得できた人が約40%ということである。
ただし、入院治療が最初から必要になる場合もある。それは「衰弱して全身状態が悪い」「各種の臓器障害の程度が悪い」「断酒意志はあっても飲酒欲求が強くて自宅では酒が切れない」「振顫(しんせん)、せん妄、幻覚、妄想などの精神症状が強い」ケースである。それ以外は通院治療となる。
治療には断酒が不可欠だが、断酒を実行しても、それを継続することは実に難しい。そこで<1>定期的カウンセリング<2>抗酒剤の服用<3>集団精神療法(自助グループを含む)が治療の3本柱となる。
<1>定期的カウンセリング 「週に1度、診察を行います。親との複雑な関係とかがある場合は別途カウンセラーと面接を行うこともあります」。
<2>抗酒剤 肝機能が極端に悪くないときは抗酒剤を用い、日本ではシアナマイド(液体)とノックビン(粉末)の2種類が使われている。「この薬は酒が嫌いになる薬ではなく、この薬を飲んだことで酒を飲まないように自制するためのものです」。
<3>集団精神療法 同じアルコール依存症者10人前後によるミーティングで、毎日行われており、患者はできるだけ多く通院して参加する。「最初の2カ月は集中的に参加してもらうように指導しています」。
順調に進むと2~3週で変化が表れる。「前向きに明るくなられます。ミーティングに出てほっとする。自分だけではなかった、などの安心が生まれるのです。そして酒なしで生きる知恵を学び、最終的には生き方が変わっていきます」。そして、60%の人は酒を飲んだり止めたりをしながら、5年治療を続けると、80%の人々はお酒をやめられるという。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆アルコール依存症の名医
▽ひがし布施クリニック(大阪府東大阪市)辻本士郎院長
▽宋神経科クリニック(神戸市中央区)宋龍啓理事長・院長
▽下司病院(高知市)下司孝麿理事長
▽雁の巣病院(福岡市東区)熊谷雅之院長代行
▽西脇病院(長崎市)西脇健三郎理事長
▽指宿竹元病院(鹿児島県指宿市)竹元隆洋院長
April 4, 2006 11:27 AM
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://blog.nikkansports.com/mt/mt-tb.cgi/4194
このリストは、次のエントリーを参照しています: 【第83回】カウンセリングなどで断酒/慈友クリニック米沢宏院長:
» 猪野亜朗先生の本 from アル中親父のアルコール依存症克服記
アルコール性臓器障害と依存症の治療マニュアル―急増する飲酒問題への正しい対処法 猪野亜朗 著 猪野亜朗先生は医学ジャーナリストのサイトなどでアルコー... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2007年12月22日 17:01
