2006年04月03日
この病気にこの名医Part2
【第82回】KASTの点数で患者説得/慈友クリニック米沢宏院長
アルコール依存症の治療(上)
アルコール依存症の治療は70年代から大きく変わり、精神科の一般病棟からアルコール依存症専門病棟へと移った。さらに80年代からは治療の場はクリニックへ-。「病院ではむりやり入院させられるのではと、患者さんは反抗的になります。ところが、私どものようなクリニックではそういうことがなく、患者さんは素直ですし、早期の方が多く受診されるようになりました」と、慈友クリニック(新宿区高田馬場)精神科の米沢宏院長はいう。
アルコール依存症も早期発見、早期治療が重要で、その点ではアルコール依存症を専門とするクリニックの増加が早期発見、早期治療に大きく貢献しているといえる。早期発見のための診察は、慈友クリニックの場合は予約の電話から始まる。「予約の際に誰から電話がかかるかで、その患者さんの職業や生活状況がおおよそ分かります。福祉事務所のケースワーカーからならば生活保護を受けていることが分かるし、企業の健康管理室のスタッフからならば、おそらく会社で問題を起こしている人だろうと分かります。家族から連絡が入る場合は、家族が困っている状況であることが予想できます」。
そして、初診。慈友クリニックのケースはソーシャルワーカー、臨床心理士、看護師が受診者の病状や情報を約1時間の面接によって収集。それらの情報が医師に提出されて、医師による問診が始まる。「この問診が最も大事です。まずは来院の経緯を聞き、いつからアルコールによる問題が生じ始めたかを聞きます」。20代で胃・十二指腸潰瘍を経験する人が少なくない。30代になって肝機能障害が指摘される。「飲み方、酔い方でも問題が生じ、二日酔いで仕事を休む、会社に酒のにおいをさせて出社する、家族から飲み過ぎといわれている。さらに、暴力などで家庭の雰囲気が悪くなったなど、詳しく聞きます」。
これに「血液検査」と久里浜アルコール症センターが作成した「KAST(久里浜式アルコール症スクリーニング・テスト)」を行う。「血液検査では肝機能や膵(すい)機能などをチェックします。KASTはアルコール依存症診断の強い材料になり、点数で出ますので患者さんの説得材料にもなります」。そして、アルコール依存症と診断されると、患者の40%が、その日からお酒を断つという。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆アルコール依存症の名医
▽ゆたかクリニック(神奈川県相模原市)村岡英雄院長
▽ひろメンタルクリニック(金沢市)奥田宏院長
▽西山クリニック(名古屋市中区)西山仁院長・猪野亜朗副院長
▽小杉クリニック本院(大阪市天王寺)小杉好弘理事長・院長
▽新生会病院(大阪府和泉市)和気隆三院長
▽新阿武山クリニック(大阪市淀川区)平野建二院長
April 3, 2006 11:50 AM
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