健康連載ブログ

2006年04月02日

この病気にこの名医Part2

【第81回】子に「遺伝」四十数%/慈友クリニック米沢宏院長

アルコール依存症(下)

 240万人とも427万人ともいわれている日本のアルコール依存症患者。その定義は「飲酒のコントロール障害」もしくは「離脱症状(酒を断ったり減らした時の症状)」。どちらかがあるとアルコール依存症である。

 「ある程度以上のアルコールをある期間以上飲めば、誰でもアルコール依存症になる可能性があります」と、慈友クリニック(東京・新宿区)精神科の米沢宏院長が言うアルコールの量とは-。「1日につき日本酒に換算して3~4合以上を毎日10~15年以上続けた場合の飲酒量です。ただ、何の問題も起きない人もいますし、逆に早く依存症になってしまう人もいます。女性は男性の半分の量で依存症になる人が多いのですが、それは女性ホルモンとの関係といわれています」。

 また、アルコール依存症は脳の問題ともいわれている。長い年月、脳の神経細胞がアルコールやアセトアルデヒドに侵され続けると、神経細胞に複雑な変化が起こり、脳のアルコールに対する反応が変わってしまう。「その変化とはアルコールが一口でも体に入ると脳がしびれたような状態になり、その人の意志を超えて脳が『次の酒をくれ!』と命令するようになるのです。これがアルコール依存症の本態です」。

 そして、体、精神、家庭、職場、社会などで問題を引き起こす。体では肝臓、すい臓、食道、胃、小腸、大腸などの疾患のほかに、がん、狭心症、心筋梗塞(こうそく)、心筋症、痛風、大腿骨頭壊死(えし)など数多い。精神症状ではアルコール幻覚症、アルコール嫉妬(しっと)妄想、うつ病など。家庭問題は嫉妬、不和、暴力、離婚、経済破たんなど。職場の問題としては遅刻、欠勤、ミス、事故、けんかなど。社会の問題としては事故、火災、けんか、傷害、性犯罪、暴力、殺人など。

 そして、家庭への問題として、アルコール依存症患者の子供には「親のようにはなりたくない」と思いながら、なぜか自身もアルコール依存症になるケースが多い。「私どもの施設でアルコール依存症者に調査したところ、彼らの親もアルコール依存症であった確率は四十数%と高いものです。体質以外に、ストレス発散の方法が親をモデルにしてしまうのだと思います」。アルコール依存症を子供に受け継がせないためにも、早期発見、早期治療こそ大事である。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆アセトアルデヒド アルコールは肝臓でアルコール脱水素酵素の働きでアセトアルデヒドに分解され、さらにアルデヒド脱水素酵素の働きで酢酸に分解される。アセトアルデヒドはアルコールが分解されて登場する物質である。

 ◆アルコール依存症の名医
 ▽白峰クリニック(さいたま市浦和区)山崎茂樹院長
 ▽栞クリニック(さいたま市中央区)竹内伸一医師
 ▽慈友クリニック(東京都新宿区)米沢宏院長
 ▽東京アルコール医療総合センター(東京都板橋区)垣渕洋一医師
 ▽都立松沢病院(東京都世田谷区)精神科・梅野充医師
 ▽久里浜アルコール症センター(神奈川横須賀市)樋口進臨床研究部長

April 2, 2006 08:50 AM

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