2006年04月01日
この病気にこの名医Part2
【第80回】患者の10年生存率60%/慈友クリニック米沢宏院長
アルコール依存症(上)
飲酒人口約6300万人。お酒の消費量は有史以来最大といわれている。アルコール依存症患者も、さぞ多いことだろう。「調査はいろいろありまして、それぞれかなり数字が異なります。03年の厚労省研究班の調べでは約82万人。そのほかの調査報告では約240万人、約427万人の数字もあります。ほぼ毎日飲酒をする人は1000万人以上いると考えられるので、実際には82万人より多いと考えます」と分析するのは慈友クリニック(東京・新宿区)精神科の米沢宏院長。
そして続ける。「厚労省の患者調査(02年10月時点)では入院・外来合計で1万7100人ですから、アルコール依存患者約240万人とすると、単純に計算すれば約140人に1人しか医療機関で治療を受けていないことになります」。このような数字が出てくる疾患は極めて珍しい。他の病気であれば最大ケースでも「潜在患者は10倍」止まりである。
ただ、アルコール依存症患者の場合、内臓疾患で内科に入院している人が多い。「内科に入院中の患者さんに入院の原因を調査すると二十数%がアルコールが原因でした」。実際、その二十数%の人々に久里浜アルコール症センターが作成したKAST(久里浜式アルコール症スクリーニング・テスト)を行うと、その80%の人々がアルコール依存症である確率が高いと判定されたのである。
治療を受けていない患者の多いアルコール依存症の定義は<1>飲酒のコントロール障害<2>離脱症状(酒を断ったり減らした時の症状)。このどちらかがあるとアルコール依存症である。「<1>のケースは昼間から飲んでしまうとか、今日1日飲まないでおこうと思っても飲んでしまう。果ては酔いつぶれるまで飲んでしまうように、コントロールが利かないのです。<2>はアルコールを飲まないと手や体が震えたり、動悸(どうき)がしたり、イライラしたり、幻覚が現れるケースもあります」。
アルコール依存症を診断するには血液の検査数値などがなく、グレーゾーンが多いので患者は気付くのが遅くなっているのが現状。ただし、治療を受けたアルコール依存症患者の10年生存率でさえ約60%と低く、がん患者のそれに匹敵する。このことを強く認識する必要がある。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆アルコール依存症の名医
▽札幌医科大学付属病院(札幌市中央区)神経精神科・斎藤利和教授
▽石橋病院(北海道小樽市)白坂知信院長
▽東北会病院(仙台市青葉区)石川達副院長
▽すがのクリニック(福島県郡山市)菅野圭樹院長
▽広瀬クリニック(茨城県水戸市)広瀬久益院長
▽赤城高原ホスピタル(群馬県渋川市)竹村道夫院長
April 1, 2006 09:05 AM
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