2006年04月11日
この病気にこの名医Part2
【第90回】開腹手術は10センチ以上か30個以上/東京医科大学病院井坂恵一教授
子宮筋腫の治療(上)
子宮筋腫(しゅ)の診断がつき、症状が強い場合には治療を行う。QOL(生活の質)を悪くする症状とは「貧血」「月経痛」「頻尿」「便秘」などである。
治療には「経過観察」「薬物療法」「手術療法」のほか、体に優しい「内視鏡手術」「動脈塞栓(そくせん)療法(UAE)」「集束超音波治療(FUS)」が行われている。
症状がなく筋腫も大きくない人は経過観察となる。「半年に1回程度は検査を受けて筋腫に変化がないかチェックする必要があります。その変化によっては経過観察から次の段階に進むことがあります」と、東京医科大学病院(東京・新宿区)産婦人科の井坂恵一教授は言う。
次の薬物療法には「術前投与」と「逃げ込み投与」がある。「この薬物療法は筋腫の女性ホルモン依存性を利用した方法です」。女性ホルモンは、脳の中心部にある下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(FSH)に影響され、卵巣から分泌される。その下垂体に指示を出すのは脳の視床下部。ここからGnRHというホルモンが放出されて命令が次々と伝達される。「使われる薬は『GnRHアゴニスト』で、GnRHが働かないようにします。命令系統がストップするので女性ホルモンが分泌されなくなります」。
閉経したのと同じ状態になる。すると、筋腫は小さくなる。「20代、30代の方々では術前に投与します。例えば12センチあった筋腫が8センチになると、開腹手術ではなく内視鏡手術ができるようになります。また、閉経の近い人であれば逃げ込み投与で閉経までつなぐため手術する必要がなくなります」。
そして、手術療法には「筋腫核出術」と「子宮全摘出術」がある。筋腫核出術は筋腫だけを摘出する手術で、子宮全摘出術は子宮をすべて摘出してしまう。後者は妊娠希望者には適さない。開腹手術になるのは筋腫が10センチ以上、または筋腫が30個以上ある場合である。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆子宮筋腫 子宮壁の筋肉が異常増殖したもので、腫瘍(しゅよう)の仲間。悪性腫瘍に変化することのない良性の腫瘍である。
◆子宮筋腫の腹腔鏡下手術の名医
▽湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)産婦人科・井上裕美副院長
▽藤田保健大学病院(愛知県豊明市)産婦人科・広田譲助教授
▽京都医療センター(京都市伏見区)産科・婦人科・杉並洋部長
▽伊藤病院(京都市左京区)産婦人科・伊藤將史院長
April 11, 2006 08:28 AM
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