2006年03月28日
この病気にこの名医Part2
【第76回】成人の3人に1人が経験/東京都済生会中央病院中村聡部長
女性の尿失禁(上)
QOL(生活の質)を悪くし、重症になると外出もできなくなってしまう病気として、最近、注目されているのが「尿失禁(尿もれ)」である。「尿失禁には腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、溢流(いつりゅう)性尿失禁、機能性尿失禁、反射性尿失禁があります」と、東京都済生会中央病院(東京・港区)泌尿器科の中村聡部長は言う。
溢流性尿失禁は前立腺肥大症などで尿道が狭窄(きょうさく)することで起きる。機能性尿失禁は認知症などで排尿自体の認識がない。反射性尿失禁は尿意がないのに反射的に尿を漏らす。脊髄(せきずい)の障害によって起こる。そして、女性の尿失禁として多いのは、腹圧性尿失禁、切迫性尿失禁、その2つが合わさっている混合性尿失禁である。「成人女性の3人に1人は尿失禁を経験しており、その比率は腹圧性尿失禁が60%、切迫性尿失禁が20%、混合性尿失禁が20%となっています」。
今回は、腹圧性尿失禁のメカニズムを紹介しよう。腹圧性尿失禁は「骨盤底筋の膀胱(ぼうこう)の出口から尿道にかけてを支える部分が弱くなる」ことで起きる。骨盤底筋とは膀胱、尿道、子宮など、骨盤内に収まっている臓器を、下から支えている筋肉の集団。これがしっかりしていると、腹圧が強くかかっても何の問題も起こらない。ところが「骨盤底筋の構造が破たんすると、腹圧がかかったときに対応できずに尿が漏れます」。つまり、尿道をしっかりと締められないのである。
腹圧性尿失禁の原因はまだ完全に解明されたわけではないがリスクファクター(危険因子)として、以下のことが考えられている。
▽出産経験 何回も出産経験があると骨盤底筋は弱くなる。
▽加齢 「40代から急激に患者さんが増えます。出産後に骨盤底筋が弱ってもいったんは回復しますが、その後加齢に伴い、括約筋や骨盤底筋も衰え、脳血管障害、神経疾患なども併発する可能性が増加します」。
▽女性ホルモン 女性の尿道周囲の弾力性の維持に女性ホルモンが働くが、更年期によって女性ホルモンが減少し、尿道の粘膜が委縮し抵抗が低くなってしまう。
このほかに、肥満、便秘も腹圧を余計にかける原因になっている。
◆腹圧のかかるとき 腹圧がかかって尿失禁を起こすのは「せきやくしゃみをしたとき」「重い物を持ち上げたとき」「急に走りだしたとき」「大笑いをしたとき」「立ち上がったとき」などがある。
◆尿失禁の名医
▽東北労災病院(仙台市青葉区)泌尿器科・大沼徹太郎部長
▽市立秋田総合病院(秋田市)泌尿器科・松尾重樹外科診療部長
▽星総合病院(福島県郡山市)泌尿器科・亀岡浩医師
▽三井記念病院(東京都千代田区)産婦人科・中田真木医長
▽日本大学医学部付属板橋病院(東京都板橋区)泌尿器科・高橋悟教授
March 28, 2006 12:08 PM
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