健康連載ブログ

2006年03月27日

この病気にこの名医Part2

【第75回】ワクチン接種の時代/国立病院機構東京病院永井英明医長

肺炎の治療(下)

 日本人の死亡原因第4位にランクされる肺炎の死亡者数は約9万5000人。その96%を占めているのが65歳以上の高齢者である。

 60歳以上の高齢者の肺炎の原因を調べると、46%が肺炎球菌によることが分かっている。それを基に、国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)呼吸器科の永井英明医長は「65歳以上の高齢者では、肺炎球菌性肺炎をしっかり予防できると、死亡者は激減すると思います」と話す。

 かつては「抗生物質を使えば肺炎は治る」と考えられていた。が、最近はペニシリン耐性のある肺炎球菌が増加。実際、肺炎球菌の約60%はペニシリンに対する耐性菌であるといわれている。となると、予防はインフルエンザがそうであるように、肺炎球菌性肺炎の場合も肺炎球菌ワクチンの接種が強い味方になるはず。

 88年から日本でも肺炎球菌ワクチンの接種が始まったものの、接種率はわずか2%にすぎない。「ワクチンの接種で肺炎から引き起こされる菌血症が予防できると、肺炎による死亡率を60%は減らすことができると考えられています。肺炎球菌による肺炎の重症化や死亡を防ぐのです」。

 実際、町の助成によって01年に65歳以上の町民に肺炎球菌ワクチン接種を行った町がある。北海道瀬棚町、現在のせたな町で、予防に重点を置き、高齢者の生命も守り、医療費の削減にも結び付けば、と実践した。「インフルエンザワクチン接種、胃・十二指腸潰瘍(かいよう)の原因となるピロリ菌の尿中抗体検査にも助成したのです。すると、1人当たりの老人医療費は約30%も下がり、北海道での老人医療費が多いところから24番目だったのが翌年には187位まで大きく下がりました」。

 それを知って、肺炎球菌ワクチンの公費助成を行う自治体が出てくるようになり、05年10月現在で27市町村となった。

 ただ、肺炎球菌ワクチンの有効期間は約5年といわれている。65歳でワクチンを接種すると、70歳を超えたらどうするといいのだろう。米国では条件付きだが再接種が許されている。「日本でも3~4年後には、再接種が可能になると思われます」。肺炎も予防接種の時代である。

 ◆菌血症 肺炎球菌性肺炎になると、肺炎球菌が血液に入って全身へ運ばれる。これが菌血症。この菌血症が髄膜炎や心内膜炎などを引き起こす。

 ◆肺炎の名医
 ▽公立刈田総合病院(宮城県白石市)呼吸器科・内山美寧部長
 ▽倉敷第一病院(岡山県倉敷市)呼吸器センター・松島敏春センター長
 ▽長崎大学医学部・歯学部付属病院(長崎市)呼吸器内科・河野茂教授
 ▽長崎原爆諫早病院(長崎県諫早市)斎藤厚院長

March 27, 2006 02:35 PM

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