健康連載ブログ

2006年03月21日

この病気にこの名医Part2

【第69回】ピロリ菌の除菌が最優先/国際医療福祉大熱海病院川口実

胃・十二指腸潰瘍(下)

 胃・十二指腸潰瘍(かいよう)の原因となることですっかり有名になったヘリコバクター・ピロリ菌。日本には6000万人の感染者がいると推測されている。が、実際に胃・十二指腸潰瘍で苦しんでいるのは約200万人前後。

 ピロリ菌がどのように胃・十二指腸潰瘍への道を作るのか-。「まず、ピロリ菌は胃の中の粘液にすみ、胃酸から身を守るために、自分自身で酵素を出し、ウレアーゼ活性といって、胃にある尿素から二酸化炭素とアンモニアを作ります。そのアンモニアはアルカリ性。それでピロリ菌は自身を胃液から守るものの、胃にとってはつらいことになります」と解説するのは、国際医療福祉大学付属熱海病院(静岡県熱海市)内科の川口実教授(兼副院長)。

 それは“慢性胃炎”の状態をピロリ菌がアンモニアを作ることで起こしてしまうからである。
 胃壁は5層になっており、その最も内側が「粘膜」。ピロリ菌はここにすみついていると思っている人が多いが、実はそれは正解ではない。ピロリ菌は粘液の中に、そして、より胃の出口である幽門付近に多くすみついている。
 「粘膜から胃液も粘液も分泌されますが、胃の内側から胃液、粘液、粘膜となって、アルカリ性の粘液が胃液から粘膜を守っています。ところが、ピロリ菌に感染していると、ピロリ菌の作るアンモニアなどが胃の粘膜に障害を与え、慢性胃炎の状態にするのです」。
 慢性胃炎は、胃・十二指腸潰瘍の前身で、いつ胃・十二指腸潰瘍を引き起こしても不思議ではない。「この段階になると、ちょっとしたストレスでも胃・十二指腸潰瘍は起きてしまいます」。つまり、胃粘膜側の抵抗力がストレスで低下し、胃酸がドッと粘膜を攻撃することになるからである。「ピロリ菌を除菌してしまわない限り、胃・十二指腸潰瘍は何度でも再発します」。

 胃・十二指腸潰瘍の治療は、何をおいてもピロリ菌の除菌となるようである。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆委縮性胃炎 ピロリ菌によって慢性胃炎状態が続くと、委縮性胃炎になる。委縮性胃炎は弾力があって厚みもあった胃の粘膜が、硬く薄くなった状態で、抵抗力が弱く、より胃・十二指腸潰瘍になりやすい状態である。

 ◆胃・十二指腸潰瘍の名医
 ▽社会保険中央総合病院(東京都新宿区)消化器内科(消化管)・浜田勉部長
 ▽国立国際医療センター(東京都新宿区)消化器科(内視鏡)・上村直美部長
 ▽ムラタクリニック(東京都港区)村田洋子院長
 ▽杏林大学医学部付属病院(東京都三鷹市)消化器(第3内科)・高橋信一教授

March 21, 2006 04:11 PM

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