健康連載ブログ

2006年03月17日

この病気にこの名医Part2

【第65回】第4の治療法として注目/ビオセラクリニック谷川啓司院長

がん免疫細胞療法(上)

 「21世紀までには撲滅できる」という声も多かったがん。だが、実際には21世紀に持ち越してしまった。

 今、がん治療の基本は手術療法、化学療法(抗がん剤治療)、放射線療法の3本柱。もちろん、この3本柱を2つ、3つ組み合わせた集学的治療は多く行われているが、それもこの基本治療内のものである。そこへ、第4の治療法として、大学病院などが取り組み始め、注目されているのが「がん免疫細胞療法」である。

 膵臓(すいぞう)がんの補助療法として前回紹介したが、東京女子医大病院では臨床試験として行われており、より多くの患者にその治療機会をと考えられ、関連施設として治療活動を行っているのがビオセラクリニック(東京・新宿区)。谷川啓司院長ががん免疫細胞療法の注目理由を、次のように分析する。「ここへきて、一段と患者さんのQOL(生活の質)の維持が医療に求められるようになっています。それが追い風となって、本来、人間が持つ治癒力を強化することで治癒を目指すがん免疫細胞療法に支持が集まってきたのだと思います」。

 がん免疫細胞療法を知るには、まずは免疫を理解する必要がある。

 免疫は体の自己防衛反応。私たちの体に異物(細菌、ウイルスなど)が入ってくるとこれを排除しようと体が働く、それが免疫である。「その免疫も2つによって成り立っています。1つは『自然免疫』で、もう1つは『獲得免疫』です」。自然免疫は非常に基本的な免疫で、外から侵入してきた異物に反応して、その異物を囲み、また、食べてしまう防衛システム。

 一方、獲得免疫とは、異物が1度侵入した後、次の侵入に備えて準備し、2度目以降は直ちに侵入物を排除する強力な防衛システムである。「予防接種としてワクチンを接種しますが、あれは疑似体験をさせる獲得免疫を利用しているのです。がん免疫細胞療法も、このような免疫システムを大いに利用したものです」。つまり、がん細胞を直接たたく免疫にかかわる細胞を利用した治療法なのである。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆免疫療法 免疫の担い手は血液中の白血球。自然免疫チームには貧食細胞、好中球、NK細胞、樹状細胞があり、獲得免疫グループにはB細胞、T細胞などがあり、これらを総称して免疫細胞という。

 ◆がん免疫細胞療法の名医
 ▽東京女子医科大学消化器病センター(東京都新宿区)消化器外科・有賀淳教授
 ▽ビオセラクリニック(東京都新宿区)谷川啓司院長
 ▽東京大学医科学研究所・先端医療センター(東京都港区)外科・田原秀晃教授

March 17, 2006 08:01 AM

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