2006年03月16日
この病気にこの名医Part2
【第64回】手術、化学、放射線療法が3本柱/東京女子医大病院羽鳥隆講師
膵臓がんの治療(下)
膵臓(すいぞう)がんの治療は手術療法、化学療法、放射線療法の基本3本柱が中心となる。「患者さんの状態によって手術単独、手術+化学療法、手術+化学放射線療法などが組み合わされます。ただ、手術1つとっても、昔とは大きく変わってきました」と、東京女子医科大学病院(東京・新宿区)消化器外科の羽鳥隆講師は言う。「大きな変化」とは-。「手術の根治性を損ねることなく残せる臓器はできるだけ残すことで、術後のQOL(生活の質)を悪くしないように努めています」。
変化している手術療法は膵臓がんのできる場所によって異なってくる。膵臓は長さ20センチくらいのニンジン型の臓器で、十二指腸側から3つに分けられ、「膵頭部」「膵体部」「膵尾部」と呼ばれている。
がんが膵頭部にできると「膵頭十二指腸切除」が行われる。これは膵頭部、十二指腸、胃を切除する。「従来はそれが一般的でしたが、私たちは術後の栄養を含めたQOLを維持するため、ほとんどの場合で3~4センチの十二指腸の入り口と胃全部を残す『温存膵頭十二指腸切除』を選択しています」。
膵体部や膵尾部にがんができると「尾側膵切除」となり、膵頭を残して膵臓と脾(ひ)臓を切除する。そして、がんの広がりによっては膵頭十二指腸切除と尾側膵切除を一緒に行う「膵全摘」が行われる。が、ここでも羽鳥講師グループは臓器温存を心掛けるようにしている。「全摘は術後のQOLを落とすことになりかねません。通常の膵管にできる進行した膵管がんでは、全摘を行っても良い結果につながりません。ただし、同じ膵管にできるがんでも粘液をたくさんつくる『膵管内乳頭粘液性腫瘍(しゅよう)』は治りやすいタイプなので、病変が膵臓全体に広がっている場合でも根治性が期待できるので全摘を行うことがあります」。
このように膵管がんでは手術療法でがん病巣を切除しても、がんを克服するのは難しいとあって、化学療法や放射線との組み合わせを考え、行われている。「米国は手術+化学放射線療法、欧州は手術+化学療法、日本では両者取り混ぜたさまざまな方法が行われています。私たちは手術の後に抗がん剤の『ジェムザール』を中心に治療を行い、免疫療法も補助的に行っています。手術ができない患者さんには抗がん剤『TS-1』も併せて行っています」。
膵がんの国際的対応策は、まだまだ研究途上とあって、早期発見・早期治療が重要である。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆膵臓がんの名医
▽大阪府立成人病センター(大阪市東成区)消化器外科・石川治副院長
▽国立病院機構九州がんセンター(福岡市南区)消化器内科・船越顕博医長
▽九州大学病院(福岡市東区)第1外科・田中雅夫教授
March 16, 2006 11:59 AM
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