2006年03月14日
この病気にこの名医Part2
【第62回】高血糖値、黄疸は疑う/東京女子医大病院羽鳥隆講師
膵臓がん(下)
「暗黒の臓器」といわれる膵臓(すいぞう)。早期発見が難しい膵臓がんとあって、着実に死亡者は増えている。04年の死亡者数は2万2260人で、肺がん、胃がん、大腸がん、肝がんに次いでいる。
膵臓は胃の後ろにあり、右側が太く、左側に行くほど細くなる長さ20センチくらいのニンジン型をしている。消化液の膵液を分泌する外分泌の働きと、血糖をコントロールするインスリンというホルモンを分泌する内分泌の働きがある。「膵臓がんの多くは外分泌の働きを持つ膵液が流れる管の膵管にできる『膵管がん』で、浸潤性の強い悪性度の高いがんです。このほか、膵管にできるがんでも粘液をたくさんつくる『膵管内乳頭粘液性腫瘍(しゅよう)』や『膵粘液性嚢胞(のうほう)腫瘍』などがあり、こちらは膵管がんとは違って比較的早期に発見され、治りやすいものです」と、膵臓がん治療の第一人者、東京女子医科大学病院(東京・新宿区)消化器外科の羽鳥隆講師は話す。
膵臓がんは早期発見が難しいので、そのリスクを十分認識しておくと、早期発見に結び付けることも可能。リスクには「遺伝的要素」「糖尿病」「ヘビースモーカー」「慢性膵炎」などがある。
例えば糖尿病の場合、しっかり血糖コントロールを行っているのにコントロールが大幅に乱れてしまうことが起きる。「膵臓はインスリンを分泌しているので、そこにがんができると、それまで上手に血糖コントロールのできていた糖尿病患者さんでも、血糖コントロールが難しくなります。その変化を、コントロールが下手と思うだけではなく、一度は膵臓がんを疑ってみることが重要です」。
糖尿病が全くなかった人が、急に血糖が高くなったときも膵臓がんを疑ってみるべきである。
このほか、白眼が黄色くなる黄疸(おうだん)で発見されることもある。この場合は状況によっては膵臓がんが早期に発見されるケースも出てくる。黄疸の出るときは、膵臓の頭の部分、膵頭部にがんができ、胆汁の流れが妨げられたときである。
「早期発見は難しい」と悲観的になるばかりではなく、リスクのある人は健康診断でも膵臓がんを頭の片隅に置いておくべきである。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆インスリン 血液中のブドウ糖(血糖)を細胞内にエネルギーとして取り込むためのホルモンがインスリンで、血糖値が上昇しすぎないように調節している。インスリンは膵臓のランゲルハンス島という島のように散在している細胞集団のβ細胞(B細胞ともいう)から分泌される。
◆膵臓がんの名医
▽千葉県がんセンター(千葉市中央区)消化器外科・浅野武秀部長
▽東京女子医科大学病院(東京都新宿区)消化器外科・羽鳥隆講師
▽帝京大学医学部付属病院(東京都板橋区)外科・高田忠敬教授
▽国立がんセンター中央病院(東京都中央区)肝胆膵内科・奥坂拓志医長、肝胆膵外科・小菅智男第2領域外来部長
March 14, 2006 09:02 AM
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