健康連載ブログ

2006年03月13日

この病気にこの名医Part2

【第61回】特有の症状なく早期発見難しい/東京女子医大病院羽鳥隆講師

膵臓がん(上)

 「21世紀に取り残された悪性度の高いがん」と、東京女子医科大学病院(東京・新宿区)消化器外科の羽鳥隆講師が言うのは、膵臓(すいぞう)がんのことである。「暗黒の臓器」といわれるだけあって、早期発見が難しい。それには原因が大きく2点あるという。「第1は検査が難しい。第2は膵臓がん特有の症状がないからです」。

 検査が難しいのは膵臓のある位置が大きく関係している。体の中心部の奥にある。胃の後ろにあり、肝臓、十二指腸、胆のう、胆管、大腸、小腸など、多くの臓器に囲まれている。「超音波(エコー)検査で発見しようにも、検査を行う側の技量の問題もあれば、患者さん側の条件もあります。体形的に見えにくいこともあるのです」。

 見えにくいことで次の検査に進めばいいが、医師の技量の低さから「見えない」=「見つからない」=「異常なし」となってしまうと、膵臓がんがあっても見過ごされてしまう。早期発見のチャンスが消え去っていく。

 次は、膵臓がんには特有の症状のない点だ。膵臓がんがあって出てくる症状は「腹痛」「背中の痛み」「食欲不振」「体重減少」などがあるが、どれも他の疾患でもよく出てくるありふれた症状。これで患者が膵臓がんを疑うのには無理がある。「膵臓がん患者100人を調査したことがあります。ほとんどの方に何らかの症状がありました。あったのにほっておいた人は10%のみ、後の90%の方々は病院にかかっているのに見過ごされていました」。

 「胃が痛い」と訴えてある病院を受診した患者は、胃の検査の結果「胃潰瘍(かいよう)」と診断され、胃腸薬を処方されて服用。その後も胃の痛みというか、腹部の痛みが良くならないので超音波検査や血液検査を加え、膵臓がんが発見された。「患者さんが症状に気付いて膵臓がんと診断されるまで、平均2~3カ月を要しているのです」。

 その結果、80%の人が最も進行したステージⅣ、15%が進行がんのステージⅢ、残りわずか5%がステージⅠもしくはⅡという厳しい状況。「ちょっとした腹痛程度の症状で発見することが大事です。強い腹痛・背中の痛みになってしまうと発見されても進行しています」。早期発見のためには、処方された薬で良くならないときは、信頼できる病院へ行って「『膵臓がんを心配しているので』と言って検査を要求する方がいいと思います。医者任せでは発見されないことがあります」と、羽鳥講師はアドバイスする。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆膵臓がんの名医
 ▽手稲渓仁会病院(札幌市手稲区)消化器病センター・真口宏介センター長
 ▽北海道大学病院(札幌市北区)第2外科・近藤哲教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)肝胆膵外科・砂村真琴助教授
 ▽栃木県立がんセンター(宇都宮市)外科・菱沼正一外来部長

March 13, 2006 09:06 AM

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