2006年03月12日
この病気にこの名医Part2
【第60回】新薬のGEP療法を臨床試験中/癌研有明病院福井巌部長
膀胱がんの治療(下)
膀胱(ぼうこう)がんの早期には体に優しいBCGや抗がん剤による「膀胱内注入療法」や、内視鏡を使った「膀胱腫瘍(しゅよう)切除術」がある。が、それよりがんが進行した2期、3期の段階になると、膀胱をすべて切除するのが標準治療である。「2期の段階でも、化学療法(抗がん剤)と放射線療法を行う切除しない治療法も良くはなってきていますが、まだまだ手術と比較できる段階ではありません」と、癌研有明病院(東京・江東区)泌尿器科の福井巌部長(兼副院長)は現状を話す。
切除範囲は膀胱のみならず、周囲のリンパ節、さらに、男性では前立腺、女性では子宮を切除する。それと同時に、排尿のための道を新しく作る必要がある。この尿路変向術にはいくつかの方法があるが、癌研では次の3つの造設術を行っている。
<1>回腸導管造設術 患者の小腸の大腸よりの部分、回腸を15センチ程度切除して尿管とつなぐ。そして、右腹部に尿の出口をつくる。回腸を使うので出口は直径2センチ弱。ここに排尿袋をはって尿をためる。
<2>導尿型膀胱造設術 代用膀胱は小腸を開いてつくり、虫垂や小腸をへそにつないで尿の出口にする。ただし、そこから尿が垂れ流しになるのではなく、代用膀胱に尿がたまってきたころに、自分でカテーテル(細い管)を挿入して尿を排出する。
<3>自排尿型膀胱造設術 「最近は、自分の残った尿道を利用し、おなかに力を入れ、括約筋を緩めて排尿のできるこの方法でつくりたがる方が多いですね」。小腸でつくった代用膀胱を尿道につなぐ。これが可能となるのは尿道が残せた場合である。「尿意が強くないので尿失禁があります。夜は2回ほど目覚ましで起きて排尿するようにすると大丈夫です」。だが、最も希望者の多いこの方法にはリスクがある。「残した尿道にがんができやすいのです。だから膀胱がんでも悪性の上皮内がんの方々は、自排尿型はあきらめる方がいいと思います」。
さらに進行し、4期になると化学療法が中心。標準治療はM-VACといって、4種類の抗がん剤メソトレキセート、ビンブラスチン、アドリアマイシン、シスプラチンを組み合わせて使う。が、効果は弱く、最近注目を集めている臨床試験中の化学療法としては、福井部長の考案した「GEP」がある。シスプラチナム、ジェムザール、エトポシドの3種の抗がん剤の組み合わせ。有効率70%で、5年生存率25%。症例は40例とまだまだ少ない。ちなみに、M-VACCの5年生存率は5%前後である。
◆膀胱がんの名医
▽京都大学医学部付属病院(京都市左京区)泌尿器科・小川修教授
▽国立病院四国がんセンター(愛媛県松山市)泌尿器科・住吉義光医長
▽九州大学病院(福岡市東区)泌尿器科・内藤誠二教授
March 12, 2006 08:52 AM
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