健康連載ブログ

2006年03月09日

この病気にこの名医Part2

【第57回】血尿出たらまず疑う/癌研有明病院福井巌部長

膀胱がん(上)

 がんの死亡者は年間32万人を超え、まだまだピークを迎える気配がない。そんながんの中の1つ、膀胱(ぼうこう)がんは04年の死亡者が5556人で、死亡者数は肺がんと比べると10分の1以下だが、着実に増加している。発生率は人口10万人あたり10~17人。男女比は3対1で圧倒的に男性に多く、死亡者数が少ないのは、悪性度の低いがんの割合が高いからである。

 膀胱がんの発生メカニズムについて、癌研有明病院(東京・江東区)泌尿器科の福井巌部長(兼副院長)は、「膀胱という臓器の働きが大きく関係している」と、指摘する。基本的には2つある腎臓で尿が作られ、尿管を通って膀胱にたまる。膀胱には成人で約300ミリリットル尿がためられ、尿が増えると尿意を感じて尿道を通して排出される。「膀胱に尿をためる」ことが膀胱がんを作り出すのに大きく関係しているという指摘なのである。

 膀胱がんに関与する物質はいろいろある。ゴム、皮革、織物、色素などの工場で使われるアニリン色素、ナフチラミンなどの染料によく接触している、アク抜きをしないゼンマイやワラビを大量に食べている、といったことで、発がん物質が体に入り、尿と一緒に排出される。そのとき、膀胱で少なくとも2~3時間はためられるので、接触している時間が長くできる。

 「多くの方々に影響を与えるのは、何といってもたばこです。煙の中に発がん物質であるナフチルアミンが微量ながら含まれているのです。たばこを吸う人のみならず、周囲の人々もたばこを吸うと、体にその発がん物質が入り、尿と一緒に体外に排出されます。このとき、膀胱で膀胱壁(粘膜)と長く接触してしまうのです」。すると、9番、17番染色体などにあるがん抑制遺伝子が変異し、膀胱がんが発生したり進行したりしてしまう。

 症状は、無症候性(痛みなどのない)の血尿が最も多く、痛みを伴う膀胱炎とは区別ができる。「ただ、痛い上に血尿の出る人もいます。痛みがあるから膀胱炎でよかったと思ってはいけません。痛くない方が悪性度が低く、痛みのあるのは悪性度の高いがんなのです」。男性では膀胱炎はないので、膀胱炎のような症状がある男性は、最初から膀胱がんを疑って対応するのが賢明である。

 ◆膀胱炎 膀胱に大腸菌などの細菌が尿道から侵入して起こるのが膀胱炎。尿道が3センチと短い女性の病気で、排尿に伴う痛み、排尿回数の増加、尿が濁ったり血が混じるといった症状が出る。

 ◆膀胱がんの名医
 ▽札幌医科大学付属病院(札幌市中央区)泌尿器科・塚本泰司教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)泌尿器科・荒井陽一教授
 ▽秋田大学医学部付属病院(秋田市)泌尿器科・羽渕友則教授
 ▽新潟県立がんセンター新潟病院(新潟市)泌尿器科・小松原秀一臨床部長

March 9, 2006 10:24 AM

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