2006年03月04日
この病気にこの名医Part2
【第52回】「永田法」は手術2回/永田小耳症形成外科クリニック永田悟院長
小耳症の治療(下)
先天性疾患の「小耳症(しょうじしょう)」は、耳が極端に小さい状態をいう。片側の耳のみが小耳症のケースから、両耳のない無耳症まで、胎児形成期のどの段階で異常が起きたかにより、形態は無限。その治療となると、1985年に開発され、小耳症手術の世界の標準術式となっている「永田法」が、最新治療である。
「かつてはタンザー法やブレント法が欧米を中心に行われていましたが、それぞれ手術回数が6回、4回と多いのです。なのに耳の細かい構造物のすべての再建は不可能でしたし、最もポイントとなる耳を立てることもできませんでした」と、永田小耳症形成外科クリニック(埼玉県戸田市)の永田悟院長は問題を指摘した。この問題点が永田院長開発の永田法によってすべてクリアされたのである。
永田法は2回、手術が行われる。第1回の手術で耳全体を形成し、その6カ月後に行う2回目の手術で耳を立てる。まず、耳の位置を決め、耳の正確な型紙を作る。「耳の形はトーレスという人が論文を書いていて、その比率を計算すると型紙が作れます。その型紙通りに耳の軟骨格を作ります」。耳の軟骨格は胸の肋軟骨(ろくなんこつ)で作る。患者の胸を5センチ切り開いて肋軟骨をとり、型紙に合わせて軟骨を削って形を作り、耳のあるべき位置に移植する。「3次元的に作るために、軟骨を曲げたり3段重ねにしたり、軟骨はワイヤで85カ所をとめます。タンザー法は5カ所しかとめません」。
余った軟骨は細かくスライスして、患者の元の部位に戻す。肋軟骨は肋軟骨膜に包まれており、その膜は残してあるので、肋軟骨は約2カ月で再生してしまう。「耳垂(じすい)といって、耳たぶ部分が残っていると、その裏にあった皮膚を表に出すことで表面積が増やせ、また、頭側の皮膚をひっくり返して使うので、ほかから皮膚を移植しなくても大丈夫なのです」。頭皮を使うことで耳の皮膚の色は周囲と全く同じになる。第1回の手術は約8時間かかって終了。入院は第1回、第2回ともに25日間で包帯がとれる。補聴器からサヨナラする両側内耳症の人は、1回目と2回目の手術の間に、アメリカのバージニア大学のジャスドーパ教授に聴力改善術を受ける。
「6カ月後に2回目の手術です。再度、肋軟骨をとって耳の後ろの14ミリの厚みを与え、生きた血管膜で覆うと移植は成功し、耳もしっかり立ちます」。永田法は熟練を要するため、世界でも限られた医師しか行えないのが現状である。
◆小耳症の名医(日本には1人)
▽永田小耳症形成外科クリニック(埼玉県戸田市)永田悟院長
March 4, 2006 11:26 AM
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