健康連載ブログ

2006年03月20日

この病気にこの名医Part2

【第68回】99%はピロリ菌感染/国際医療福祉大熱海病院川口実教授

胃・十二指腸潰瘍(上)

 昨年10月、カロリンスカ研究所(スウェーデン)は05年のノーベル医学生理学賞を西オーストラリア大のバリー・マーシャル教授と、病理学者のロビン・ウォーレン博士に授与すると発表した。授賞理由は「ヘリコバクター・ピロリ菌の発見と、胃炎や消化性潰瘍(かいよう)における役割の発見」。

 ノーベル賞に結び付いた2人の発見、研究は胃・十二指腸潰瘍の治療を大きく変えた。それは、胃・十二指腸潰瘍のメカニズムの考え方も大きく変わったからである。「ピロリ菌が胃・十二指腸潰瘍を起こす原因の90%は占めています。そして、残り10%がストレスと特別な病気に伴うケースと考えられるようになりました」。

 国際医療福祉大学付属熱海病院(静岡県熱海市)内科の川口実教授(兼副院長)は言う。そして続ける。「実際、胃・十二指腸潰瘍を引き起こしている人の99・数%は確実にピロリ菌に感染しています」。

 今日、日本人のピロリ菌感染者は約50%、約6000万人といわれている。50代以上では80%近くが感染しているものの、若い人々には感染者が減少している。10代では7~8%、20代で15%くらい。「胃や十二指腸に潰瘍を作る胃・十二指腸潰瘍は、どんどん減少し、ピロリ菌の感染者がいなくなると、消えることにもなると思われます」。

 若い人々に減少しているピロリ菌は、乳幼児期に感染したもので、50代以上の人々に感染者が多いのは、幼児期に衛生状態の悪い中で育ったからと思われる。

 では、今の10代、20代の若者で感染している人々は、やはり衛生状態の悪い中に育ったかというと、そうとは限らない。母親からの食べ物の口移しが、感染のもとになっているとも考えられている。「かつては、ストレス原因説がほとんどでした。ところが、基本としてピロリ菌の感染があり、その上にストレスが加わると潰瘍になる、というのが今日の考えで、それが認められてノーベル賞に結び付いたのです」。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆胃潰瘍 胃壁は内側から粘膜、粘膜下層、筋層、漿膜下層、漿膜の5層からなっており、炎症が粘膜にとどまっているときは「びらん」といい、粘膜下層以上に達していると「潰瘍」という。

 ◆胃・十二指腸潰瘍の名医
 ▽北海道大学病院(札幌市北区)消化器内科・浅香正博教授
 ▽札幌厚生病院(札幌市中央区)消化器科・今村哲理部長
 ▽市立旭川病院(北海道旭川市)内科(消化器)・斉藤裕輔部長
 ▽福島県立医科大学付属病院(福島市)消化器内科・小原勝敏助教授

March 20, 2006 11:47 AM

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