2006年03月25日
この病気にこの名医Part2
【第73回】高齢者は重症化死亡者の95・6%/国立病院機構東京病院永井英明医長
肺炎(下)
日本人の死亡原因第4位の肺炎。その肺炎、60歳以上では約50%が「肺炎球菌」によるものである。
肺炎球菌に感染して発症する肺炎球菌性肺炎は、最初から肺炎球菌に感染した場合と、風邪やインフルエンザから2次的に感染する場合とがある。「風邪やインフルエンザは鼻や咽頭(いんとう)、喉頭(こうとう)、気管・気管支の炎症です。炎症が起こると気道の粘膜が破壊されて細菌により感染しやすい無防備な状態になってしまうので、2次感染も多いのです」と、国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)呼吸器科の永井英明医長は言う。そして続ける。「肺炎球菌性肺炎の最大の特徴は、ほかの肺炎と比較して、格段に重症化しやすいことです」。
肺炎球菌性肺炎になると、細菌は血管の中に入り、血液とともに全身に運ばれる。「菌血症がおよそ20%の人に起こるといわれています」。菌血症によって引き起こされるのが、脳・脊髄(せきずい)に細菌が巣くうと髄膜炎、心臓では心内膜炎。これらは生死にかかわることにもなる。このほか、菌血症から関節炎、腹膜炎も起こるし、肺炎から直接に胸膜炎、膿胸(のうきょう)、心外膜炎なども引き起こされる。
特に重症化しやすく、生死に大きくかかわるのは65歳以上の高齢者で、肺炎の死亡者の95・6%を占めている。そして、心臓病、腎臓病、肝臓病、糖尿病、人工透析患者、呼吸器病などのある人も感染しやすく、重症化しやすいのである。
症状としては「38度以上の高熱が出る」「激しいせき」、さらに「たん」が出る。ただし、どの人にもワンパターンの症状となるのではない。「高齢者では、特徴的な症状が出ないで、元気がなかったり、息切れしたりといった症状が肺炎の症状だったというケースもあります。だから、注意が必要なのです」。
65歳以上の肺炎は死亡率が高く、特に肺炎球菌性肺炎はそれが高いので、高齢者の場合は、周囲の人々がしっかりと気を付けてあげることが生死を分けることにもつながるといって過言ではない。
◆肺炎の名医
▽東北大学病院(仙台市青葉区)遺伝子・呼吸器内科・渡辺彰助教授
▽杏林大学病院(東京都三鷹市)呼吸器系・呼吸器(第一内科)・後藤元教授
▽神奈川県立循環器呼吸器病センター(横浜市金沢区)呼吸器科・綿貫祐司医師
▽川崎医科大学付属病院(岡山県倉敷市)呼吸器内科・二木芳人副医長(講師)
March 25, 2006 08:18 AM
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