健康連載ブログ

2006年02月24日

この病気にこの名医Part2

【第44回】画期的な神経内視鏡手術/日本医大付属病院喜多村孝幸助教授

水頭症の治療(下)

 高齢者に多い「特発性正常圧水頭症」。パーキンソン病、認知症と間違えられているケースもあることから分かるように、症状として歩行障害、尿失禁、認知症様症状が出てくる。これは「治るパーキンソン病」「治る認知症」といわれ、注目されている。

 治療は、多くなった脳脊髄(せきずい)液を管を使って脳室から腹腔(ふくくう)へ流す「脳室腹腔シャント術」で改善する。

 水頭症は特発性正常圧水頭症だけではない。その種類を、日本医科大付属病院(東京・文京区)脳神経外科の喜多村孝幸助教授は、次のように説明する。「脳脊髄液の『産生過剰』『循環障害』『吸収障害』の3つがあります。特発性正常圧水頭症の特発性とは原因不明という意味ですが、実際にはその多くが吸収障害と考えられています」。

 循環障害による水頭症では、画期的な「神経内視鏡治療」が登場し、脳外科の手術を大きく変えようとしている。脳脊髄液の循環障害は脳脊髄液の通り道のどこかが詰まったり、狭くなることで起きる。すると頭内の圧が上昇し、頭痛、吐き気、さらに進むと、生死にかかわる。

 「詰まったり、狭くなったりする原因としては、たとえば脳腫瘍(しゅよう)があります。腫瘍を切除するには、従来は開頭手術という大変な手術をしました。手術時間は最低でも5~6時間かかります。それが内視鏡で行うと、1時間30分程度で終わるのです」。まさに、患者の体に優しい手術である。

 その神経内視鏡手術は、患部にアタックしやすいところに孔(あな)を開けて、直径5ミリの内視鏡を患部まで挿入する。当然、大脳なども突き刺して行くことになるが…。「それは全く問題ありません。血管を傷つけない限り、大丈夫です」。そして、脳脊髄液の通り道を閉じている脳腫瘍を神経内視鏡を使って取り除いてしまう。

 「腫瘍以外のほかの何かが原因で生じた場合は、バイパスを神経内視鏡で作るだけで治療は終了します」。頭の傷はわずか3センチ程度で済んでしまう。体に優しいとあって、脳外科でも、今日では開頭手術よりも神経内視鏡手術に軍配が上がることも多い。「脳外科の新しい流れは、血管内治療と神経内視鏡手術だと思います」。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆水頭症の名医
 ▽北野病院(大阪市北区)脳神経外科・石川正恒部長
 ▽島根大学医学部付属病院(島根県出雲市)脳神経外科・森竹浩三教授
 ▽久留米大学病院(福岡県久留米市)脳神経外科・重森稔教授
 ▽鹿児島市立病院(鹿児島市)脳神経外科・上津原甲一院長、平原一穂部長

February 24, 2006 02:21 PM

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