健康連載ブログ

2006年02月23日

この病気にこの名医Part2

【第43回】タップテストで手術判断/日本医大付属病院喜多村孝幸助教授

水頭症の治療(上)

 頭蓋(ずがい)内に脳脊髄(せきずい)液がたまって脳を圧迫し、急性の場合には生死にかかわる水頭症。この場合は救急車で運ばれ、まさに一刻を争う状態となる。一方、慢性的状況となる「特発性正常圧水頭症」では、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像装置)などの画像診断のほかに、疑いが濃厚になった時点で「タップテスト」を行う。

 「髄液を取ることで体の改善の有無を診るテストです」と、日本医大付属病院(東京・文京区)脳神経外科の喜多村孝幸助教授は言う。髄液を取るのは腰椎(ようつい)からで、採取量は30ミリリットル。「採取後、2~3日で歩行などの動きが良くなった人は手術をすると良くなるので、水頭症と診断するとともに、手術を勧めます」。

 高齢者に多い特発性正常圧水頭症の手術は「脳室腹腔(ふくくう)シャント術」が多く行われている。
 全身麻酔で手術台に眠る患者の頭の前方の骨に孔(あな)を開け、そこからシリコン製の管を脳内の中央にある脳室に挿入する。次にその管を頭皮下を通して耳の後方に持ってくる。さらに、腹部、へその横あたりに孔を開け、やはりシリコン製の管を耳の後方から皮下を通して腹部の孔へまで持っていく。そして、頭とへその脇の孔を閉じる。シャントシステムの完成である。耳の後方の皮下にはバルブが埋設されている。

 「吸収しきれずに脳内にたまる脳脊髄液を腹腔に流して体に吸収してもらう方法です。ところが脳脊髄液を流しすぎると脳の内圧が低下してしまい、低髄圧症候群を起こしてしまいます。目覚めて起きようとすると頭痛がひどくて起きられない状態になってしまいます。だから、その時にバルブを使います」。

 今、最も新しいタイプは、外から磁石を用いて脳内からの脳脊髄液の量を調節できるようになっている。2、3カ月に1回、定期的に診察を受け、脳内の圧をチェックする。「この脳室腹腔シャント術のほかに、脳脊髄を心房に流す『脳室心房シャント術』もあります。ただ、バイ菌が心臓に入ると問題があるので、今は腹膜炎などで腹腔が使えない場合に限って行われています」。

 術後は、腹腔に圧力をかけすぎないような日常生活を送るようにする。埋設した管に詰まりが起きないためである。術後、歩行障害は早期に改善し、認知症様症状も1年もたつと大分改善するという。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆水頭症の名医
 ▽東海大学医学部付属病院(神奈川県伊勢原市)脳神経外科・松前光紀教授
 ▽名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)脳神経外科・斎藤清助教授
 ▽大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)脳神経外科・吉峰俊樹教授

February 23, 2006 10:03 AM

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