健康連載ブログ

2006年02月20日

この病気にこの名医Part2

【第41回】原因はっきりしない特発性/日本医大付属病院喜多村孝幸助教授

水頭症(上)

 パーキンソン病や認知症と思われている患者の中に、正確に診断されずに治るものも治らずにいる人が7~8%はいるといわれている。正確に診断がつくと、それは「特発性正常圧水頭症」。高齢者に多い原因がはっきりしない水頭症である。

 「治療をすると認知症様症状、歩行障害が治ったとして、最近クローズアップされてきています」と言うのは、日本医大付属病院(東京・文京区)脳神経外科の喜多村孝幸助教授。水頭症は頭蓋(ずがい)内圧が上昇する疾患である。頭の中には無色透明な脳脊髄(せきずい)液が脳室内の脈絡叢(そう)や血管で作られ、循環している。脳を守るとともに物質の代謝にもかかわっていると考えられている。その脳脊髄液の循環障害が起きたり、産生過剰、また吸収障害が起きると頭の中に脳脊髄液が増え、頭蓋内圧が上昇する。症状は頭痛と吐き気。「急性の場合は生命にかかわります」。

 ところが、特発性正常圧水頭症では慢性に推移し、頭蓋内圧は正常なのである。「特発性なので原因ははっきりしませんが、脳脊髄液の吸収障害で起きているケースが多いと考えられています」。特発性正常圧水頭症の3大症状は「歩行障害」「尿失禁」「認知症様症状」。

 ●歩行障害 手の動きは問題ないが、歩きがパーキンソン病のように、歩幅が小さくチョコチョコ不安定な歩きになる。

 ●尿失禁 程度の差があるものの、基本的に尿意が分からない。

 ●認知症様症状 軽い認知症の症状で、もの忘れなどがあったり、ボーッとしていたりする。

 「パーキンソン病の専門医でも診断を間違えることがあります。それでも、受診するのは神経内科、脳神経外科です。私どもは、多くの専門医の方々に、このようなケースがあることを認識してもらうよう努めています」。特発性正常圧水頭症と分かると、その場合は「脳室腹腔(ふくくう)シャント術」が行われる。頭蓋骨に孔(あな)を開けてシリコン製の管を入れ、余分な脳脊髄液を管を通して腹腔に流す方法である。この方法で、患者は3大症状から解放されるのである。

 ◆パーキンソン病 中脳の黒質にある神経細胞の変性によって起こるのがパーキンソン病。特徴的な4大症状は「振戦」「固縮」「動作緩慢」「姿勢保持障害」である。

 ◆水頭症の名医
 ▽中村記念病院(札幌市中央区)脳神経外科・中村博彦院長
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)脳神経外科・冨永悌二教授
 ▽日本医科大学付属病院(東京都文京区)脳神経外科・喜多村孝幸助教授

February 20, 2006 10:33 AM

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