健康連載ブログ

2006年02月15日

この病気にこの名医Part2

【第36回】QOL悪化したら3つの手術療法/慶大病院松本秀男助教授

変形性膝関節症の治療(下)

 変形性膝(しつ)関節症の治療には「保存療法」と「手術療法」があり、まずは保存療法で状態を多少なりとも改善したり、痛みを抑えるようにする。が、あくまでも対症療法。軟骨を再生することが現時点ではできないので、進行して、あまりにQOL(クオリティー・オブ・ライフ=生活の質)が悪くなってしまうと手術療法を選択することになる。

 手術療法には「鏡視下手術」「高位脛(けい)骨骨切り術」「人工膝関節置換術」の3方法が行われている。
 ●鏡視下手術 関節鏡、いわゆる内視鏡を用いる手術。少ないときは2個所、多いときは4個所膝関節に直径5~7ミリ程度の穴を開け、そこから内視鏡や手術器具を入れ、モニターを見ながら手術を行う。慶応義塾大学病院(東京・新宿区)整形外科の松本秀男助教授は次のように話す。「半月板が断裂したり、軟骨がはがれたりして、これが関節に挟まって痛みが出るような場合には保存療法では痛みはとれないので、鏡視下手術が効果を発揮します」。そのとき、変形が軽いことも大きな適応条件となる。「根治療法だと思う患者さんがいらっしゃいますが、これは挟まっている半月板を取り除くなど、部分的な手術ですので、これで変形性関節症のすべてが解決するわけではありません」。手術後、2~3日で歩け、4~5日で退院するのが一般的。これを日帰り手術で対応しているところもでてきた。
 ●高位脛骨骨切り術 膝関節を悪化させるのがO脚。O脚はひざの内側の関節軟骨を擦り減らし、さらに内側に体重がかかるようになるのでO脚に。まさしく悪循環。この悪循環を断ち切るために、すねの骨の脛骨の上部の骨を切り、O脚を矯正する。骨がつくまで、リハビリを行うのに時間がかかる。が、「人工物が入らないので感染の心配が小さいのが特徴です。また、一度骨がつけば、人工関節のように緩む心配がないので、ある程度の運動も可能です」という。
 ●人工膝関節置換術 骨を削って膝関節を人工関節に置き換えるもので、膝関節の下の脛骨側はプラスチック、上の大腿(だいたい)骨側は金属にするのが一般的。膝関節の外側が全く問題がないときは内側だけを置換する、全体のケースは「全置換術」が行われる。「人工関節の寿命は昔は10~15年程度といわれましたが、今は素材も手術方法も進歩しましたので、将来入れ替えることはあまり考えずに使ってもいいでしょう」。入院期間は2~3週程度が一般的である。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆形性膝関節症の名医
 ▽香芝旭ヶ丘病院(奈良県香芝市)整形外科・近藤誠副院長
 ▽神戸大学医学部付属病院(神戸市中央区)整形外科・村津裕嗣講師
 ▽兵庫医科大学病院(兵庫県西宮市)整形外科・吉矢晋一教授
 ▽福岡整形外科病院(福岡市南区)整形外科・王寺弘副院長
 ▽九州大学病院(福岡市東区)リハビリテーション部・三浦裕正助教授
 ▽大分大学医学部付属病院(大分県挟間町)整形外科・津村弘教授

February 15, 2006 12:43 PM

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