2006年02月07日
この病気にこの名医Part2
【第28回】軽症、高齢者には左心室縮小形成術/京大病院米田正始教授
心筋症の治療(下)
“心臓のがん”という呼ばれ方もした心筋症。内科的治療の範囲を超えてしまうと、患者は内科から外科へと紹介される。外科で行われる治療としては<1>心臓移植<2>補助循環(人工心臓を使う方法)<3>左心室形成術の3方法がある。
「移植をしたくともドナーがいない状況だし、できるとしても60歳を超えていては対象にはなりません。補助循環は2000年ごろからだいぶ良くなりましたが、感染症、出血、脳梗塞(こうそく)といった合併症があり、金銭的にも莫大(ばくだい)です」と指摘するのは、京都大学医学部付属病院(京都市左京区)心臓血管外科の米田正始教授。あくまで客観的意見である。「まだ元気を取り戻せる『軽症』の人や60歳を超えてしまった人の場合には『左心室縮小形成術』で良くしようという方針で臨んでいます」。
左心室縮小形成術の1つ「バチスタ手術」は90年代にブラジルのR・バチスタ医師が始めた。拡張した左心室の心筋の一部を切除して縫い合わせる手術。左心室を小さくすることで収縮力をアップさせようというもの。日本では98年に保険適用され、一時かなり行う施設が増えた。ところが、治療成績が良くなく、そのため世界的に衰退し、日本のごく一部と欧州の一部でのみ行われている。ただ、バチスタ手術も今は改良された。左心室の先端・心尖部を残して切除すべき心筋が切除され、成功率90%を超える(米田教授)良い成績を見せている。
「心筋の手術にはバチスタ手術、ドール手術、SAVE(セーブ)手術があります。1つの手術だけでいいというのではなく、状態にしっかり適した方法で手術を行うことが大事です。左心室と右心室の間の壁が問題の場合はSAVE手術、先端部の場合はドール手術、左心室の側面の場合はバチスタ手術を行います」。
ではSAVE手術を紹介しよう。この場合は心室中隔が悪くなった場合で、人工血管に使われているパッチを使う。パッチは化学繊維の布で編んだものの外側がタンパク質でコーティングされている。このパッチを左心室の間仕切りにつかって左心室を縮小させる。
このように左心室縮小形成術全体でも87%と、極めて高い成功率に達している。そして、今、米田教授は心筋の再生医療にも力を注ぎ、その点でも心臓血管外科のトップランナーである。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆心筋症の手術の名医
▽心臓血管研究所付属病院(東京都港区)心臓外科・須磨久善スーパーバイザー
▽葉山ハートセンター(神奈川県葉山町)心臓血管外科・磯村正院長
▽京都大学医学部附属病院(京都市左京区)心臓血管外科・米田正始教授
February 7, 2006 09:58 AM
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