健康連載ブログ

2006年02月05日

この病気にこの名医Part2

【第26回】症状出にくいのが特長/京大病院米田正始教授

心筋症(下)

 心臓移植の対象疾患としてあまりに有名な「心筋症」。これには心筋が薄く伸び切ってしまう「拡張型心筋症」と、心筋が肥厚してしまう「肥大型心筋症」に分けられる。「大きくはその2つですが、それ以外に『拘束型心筋症』もあります」と付け加えるのは、心筋症の外科手術で有名な京都大学医学部付属病院(京都市左京区)心臓血管外科の米田正始教授。拘束型心筋症は問題となる左心室の心筋の厚さは正常ではあるが、全体に硬くなるとともに、左心室の中が多少狭くなる。やはり心臓の機能が十分に果たせなくなる。

 種類を問わず心筋症の症状は心不全の症状と共通するところが多い。血液が十分に全身に行き渡らないので「動くと息切れする」。全身の血管に血液が停滞するので「足がむくんだり、全身にむくみがでる」。肺うっ血が起こるので「あおむけに寝ると息ができない」。風邪でもないのに「せきが出る」「すぐに疲れてしまう」。これなら患者もすぐに気付きそうなのだが-。「心筋症の場合は、症状がはっきりとは出にくいという特徴があるのです。だから、気がつくと重症になっていることが多いのです」。致命的な不整脈が起きることもあり、かつては5年生存率が50%といわれ、“心臓のがん”と例えられてもいたほどである。

 「実際、患者さんは内科の先生が『このままでは死んでしまいますよ』と、手術をすべき状態の患者さんに言っても、患者さんは十分に理解できません。ご本人は体力をセーブして動きませんので、強い症状が出ていないのです。だから、このままじゃ危ない、手遅れになる前に手術を受けようという実感をなかなか持てないのです」。この状態になると、患者は腎臓や肝臓も悪くしており、内科的治療だけでは多臓器不全になってしまう。「多臓器不全になるまでに手術をすれば90%以上の患者さんは元気さを取り戻せますし、良い状態が長持ちするようになってきています」。

 最近は拡張型心筋症に限ってみると、02年に患者数1万7000人、死亡者数は2111人。それでも、最近は薬物治療の進歩によって、50%といわれていた5年生存率が80%にまで改善している。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆肥大型心筋症と遺伝 左心室の壁が全体的に肥厚し、特に大動脈への出口を狭くする閉塞(へいそく)性の肥大型心筋症は遺伝的要素がかなり大きい。家族にこの疾患があるときは、ほかの人々も早く診察を受けるべき。不整脈を起こして突然死することもあるからだ。

 ◆心筋症(内科)の名医
 ▽心臓血管研究所付属病院(東京都港区)飯沼宏之副所長
 ▽東京女子医科大学病院(東京都新宿区)循環器内科・笠松宏教授
 ▽湘南鎌倉総合病院(神奈川県鎌倉市)循環器科・斉藤滋部長
 ▽藤田保健衛生大学病院(愛知県豊明市)循環器内科・平光伸也助教授

February 5, 2006 09:25 AM

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