2006年01月30日
この病気にこの名医Part2
【第20回】骨切りと人工関節/吉田整形外科吉田雅之院長
変形性股関節症の手術
変形性股(こ)関節症は股関節の関節軟骨が擦り減って、直接骨が擦れ合うために痛みと変形に苦しめられる病気である。診断がつくと、それぞれの患者に合わせた治療が行われるが、基本的には保存療法から入って、保存療法では進行を止められないなど、患者の状態を十分に知って手術のタイミングが考えられる。
手術には「骨切り術」と「人工関節置換術」がある。「40代くらいまでの比較的若い方の場合で、それほど進行していないものの今後さらに進行が予想されるケースには、骨切り術が選択されます」と、変形性股関節症を専門とする吉田整形外科(東京・港区)の吉田雅之院長(元東京女子医大助教授)は言う。
「人工物を体に入れない点がメリット。デメリットは100%の確実性がない点で、手術後も痛みがとれるのに1~2年かかるケースがあります」。骨切り術で最もポピュラーなのは「寛骨臼(かんこつきゅう)回転骨切り術」。大腿(だいたい)骨の最も先端部は骨頭(こっとう)といって球形になっている。その骨頭は骨盤の臼蓋(きゅうがい)というへこみに入り込み、簡単に外れないように臼蓋が屋根のように包んでいる。この屋根の形成不全が変形性股関節症の原因なので、その臼蓋部分の寛骨臼という骨をドーム状に切って外側へずらして屋根を作るのである。
「当然、切ってずらした骨との間にはゆがみができます。そのゆがみには骨盤から骨を削り取ってきて使います」。手術した部分の骨がしっかりすると、手術前のように足を引きずることなどはなくなり、ごく一般的な歩行ができるようになる。もちろん痛みも消える。退院までに1カ月半から2カ月を要する。
一方、人工関節置換術は-。「変形が重症なら50代でも行うが、60代が最もいい適応です。ただ、70代、80代の高齢者でも体力的に問題がなければ手術は可能です。股関節部分を人工関節に置き換えるのですが、材料は受ける部分が硬質プラスチック、骨頭部分はメタルが最も一般的です」。人工関節は50代以上が対象となる。
骨切り術か人工関節か悩むケースでは主治医とよく話し合って、納得した上で決めるべきである。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆変形性股関節症の名医
▽金沢医科大学病院(石川県内灘町)整形外科・松本忠美教授
▽名古屋大学医学部付属病院(名古屋市昭和区)整形外科・長谷川幸治助教授
▽京都府立医科大学付属病院(京都市上京区)整形外科・久保俊一教授
▽大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)整形外科・菅野伸彦講師
▽関西医科大学付属病院(大阪府守口市)整形外科・飯田寛和教授
▽広島大学病院(広島市南区)整形外科・安永裕司教授
▽長崎大学医学部・歯学部付属病院(長崎市)整形外科・進藤裕幸教授
January 30, 2006 09:04 AM
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