2006年01月22日
この病気にこの名医Part2
【第12回】内臓脂肪減らすと薬も効く/東京逓信病院宮崎滋部長
メタボリックシンドロームの治療(下)
注目のメタボリックシンドロームの治療の第1歩は、食事療法と運動療法。それは、内臓脂肪型肥満がベースにあるからで、食事・運動療法で生活習慣を大いに改善できると、効果はてきめん。事実、第一線で診療に携わる東京逓信病院(東京都千代田区)内分泌代謝内科の宮崎滋部長は「内臓脂肪を減らせると、他の軽症の生活習慣病はすべて良くなります。現在の体重を5%減らすだけで良くなるのです」と話す。
もちろん100%とはいかない。「糖尿病になりやすい体質を持っている人とか、高脂血症、高血圧になりやすい人もいます。そういう人々は内臓脂肪を減らしても、なりやすい疾患は多少残ります。それが糖尿病であれば、糖尿病の治療をすることになります」。
中には食事・運動療法に取り組もうにも仕事が多忙で思うように内臓脂肪の減少がうまく進まない人も。その場合は薬物療法が行われることになる。「このように薬物療法に至ったとしても、これらの問題の上流にある内臓脂肪にきちっとアタックすることで、薬が効きやすくなる可能性は極めて高いし、合併している疾患が少しでも減ると服用する薬の種類も減らせ、薬の副作用によるリスクも減らせます」。
糖尿病、高脂血症、高血圧、それぞれに効く薬が投与されるが、それで治療が終わったわけではない。その後も常に食事・運動療法にしっかり取り組むようにしておくことが望ましい。
宮崎部長が治療を続けたR男さんのケースを紹介しよう。
60歳のサラリーマン。軽度の糖尿病で、まずは教育入院。この時点で高血圧があって降圧薬を服用していた。内臓脂肪はBMI(肥満度を測る国際指標で、25以上が肥満)が30・4。HDLコレステロールは低く、中性脂肪は基準値を軽くオーバーしていた。
教育入院が功を奏し、1年間でBMIは24・6と25を切るようになった。その時点でCT(コンピューター断層撮影)を撮ると内臓脂肪はきれいに減少。HDLコレステロールは上昇し、逆に中性脂肪は減少。血圧についてはまだ降圧薬を服用しているものの、本人はとても快適な日々の暮らしを満喫しているという。「決して難しいことではありません。心筋梗塞(こうそく)などの発作を起こす前に、ちょっと健康について自分の体の声を聞いていただければ治療に歩み出せます。薬も実際に減らせるのです」。
【医学ジャーナリスト松井宏夫】
◆メタボリックシンドロームの名医
▽大阪大学医学部付属病院(大阪府吹田市)内分泌・代謝内科・中村正講師、船橋徹講師
▽住友病院(大阪市北区)内科・松沢佑次病院長
▽関西電力病院(大阪市福島区)糖尿病・栄養内科・清野裕院長
▽岡山大学医学部・歯学部付属病院(岡山市)腎臓・糖尿病・内分泌内科/リウマチ膠原病・膠原病・アレルギー科・槇野博史教授
January 22, 2006 11:50 AM
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