健康連載ブログ

2006年01月18日

この病気にこの名医Part2

【第8回】置換手術は話し合って弁選択を/順天堂医院天野篤教授

「心臓弁膜症の外科治療」

 心臓の弁に異常が生じ、進行すると心不全に結び付く心臓弁膜症。薬物療法で対応し切れない場合やカテーテル治療の対象にならない場合には外科治療が行われる。この場合は「弁置換術」か「弁形成術」が選択される。

 心臓弁膜症で手術を受ける約97%を占めるのが「僧帽弁閉鎖不全症」と「大動脈弁狭窄(きょうさく)症」。その僧帽弁閉鎖不全症の場合、弁形成術がよく行われる。どのように行うのか、第一人者である順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)の天野篤教授は次のように話す。「弁形成術は弁がずれて逆流しているところを矯正して正常な接合を回復させることで治すのです。患者さん自身の弁が残るため術後の療法が不要です。弁全体に細菌がついていたり、石灰化が高度でない限り弁形成術で対応できます」。僧帽弁閉鎖不全症では弁置換術も行われるが、形成困難な場合のみで5~10%である。

 大動脈弁狭窄症の場合は、大動脈弁が十分に開かないので全身への血液量が減り、心筋の状態も悪くしてしまうので、症状がある場合には速やかに弁置換術を行う。「弁置換術は名称通り、弁を換える手術です。硬くなっている弁をいかにきれいにとれるかが、術者の腕の良しあしになります。固くなった弁を取った後、私はできるだけ大きいサイズの人工弁を入れるように工夫しています。そのほうが患者さんの心臓の負担がとれるからです。とはいっても正常な人の大動脈弁以上にする必要はなく、同じくらいで十分です」。

 そして、換える弁には豚や牛などを用いた「生体弁」と、特殊カーボン製の「機械弁」とがある。機械弁はすでに25年以上にわたって全くデザインも変わらずに使われており、壊れることはなく、信頼度は高い。「ところが、機械弁では血栓ができるのを防ぐ抗凝固薬(ワルファリン)を毎日服用しなければなりません。内服の忘れは命取りになります。採血による検査のために定期的な通院も必要です。生体弁はその必要がありません。ただ、生体弁は15年くらいでゆっくりと硬化します。狭窄症状が出ると再手術が必要になりますが危険性は初回と同じです」。どちらを選択するかは、主治医と十分に話し合って納得した上で決定すべきである。

 手術は人工心肺を使っての開胸手術。その開胸部はどんどん小さくなり、6~8センチという小切開手術も行われている。また、自己負担、もしくは病院側の研究費負担で腹腔(ふくくう)鏡を使った体に優しい手術を行っている施設もある。この点も十分に考慮すべきだろう。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆心臓弁膜症の手術の名医
 ▽神戸市立中央市民病院(神戸市中央区)胸部外科・岡田行功部長
 ▽島根大学医学部付属病院(島根県出雲市)心臓血管外科・樋上哲哉教授
 ▽小倉記念病院(北九州市小倉北区)心臓血管外科・岡林均主任部長
 ▽鹿児島大学医学部・歯学部付属病院(鹿児島市)循環器センター心臓血管外科・坂田隆造教授

January 18, 2006 09:24 AM

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