健康連載ブログ

2006年01月15日

この病気にこの名医Part2

【第5回】年間1万人が手術

順天堂医院 天野篤教授

心臓弁膜症(上)

 生活習慣病は患者が多く、心臓病といえば多くの人々はすぐに狭心症、心筋梗塞(こうそく)を思い描く。ところが、東京医科大学病院での心臓外科手術のミスで、すっかり有名になったのが心臓弁膜症。推定患者数は200万人。手術が必要な患者は年間約1万人といわれ、実際、それくらいの人々が手術を受けている。

 心臓の弁に問題が生じ、さまざまな症状を引き起こす。突然死に結び付くことも、まれにある。

 症状を具体的に紹介すると、「息が切れる」「動悸(どうき)がする」「呼吸が苦しい」「夜寝ると苦しい」「体がむくむ」「疲れやすい」など。このような症状が出るのは、心臓の弁の異常により血液循環がスムーズにいかないからである。

 「心臓には僧帽弁、大動脈弁、三尖(せん)弁、肺動脈弁の4つの弁があり、この中で全身に影響を及ぼしやすいのが僧帽弁と大動脈弁です」。心臓血管の手術で定評のある順天堂大学医学部付属順天堂医院(東京都文京区)心臓血管外科の天野篤教授は言う。

 肺でガス交換された血液が肺静脈を通って左心房に入り、心房が収縮して左心房と左心室の間にある僧帽弁が開いて左心室に血液が流れ込む。心室の内圧が高くなると左心室の大動脈弁が開いて血液は全身へと流れ出て行く。この2つの弁で年間の心臓弁膜症手術の約97%を占めている。

 「原因疾患は狭窄(きょうさく)症と閉鎖不全症です。基本的には4つの弁でそれぞれ起きるものの、多いのは僧帽弁と大動脈弁。さらに、僧帽弁では僧帽弁閉鎖不全症、大動脈弁では大動脈弁狭窄症が圧倒的に多くなっています」。その中の僧帽弁閉鎖不全症は、僧帽弁を支えている腱索(けんさく)が心臓の中で強い負担を受けて切れ、僧帽弁がきっちり閉じなくなって血液が逆流する疾患。急性心不全状態が起き、典型的症状は「カラ咳(せき)」。受診すると、心臓がもともと弱い人は入院になる。

 かつては、リウマチ熱がほとんどだったが、最近は高齢化と食生活の欧米化が原因で弁の形態が〝変性〟するケースが増えている。そのほかに感染した細菌が弁膜にとりついて弁を破壊することもある。

 【医学ジャーナリスト松井宏夫】

 ◆リウマチ熱 溶血性連鎖球菌が原因の感染症。13歳くらいの学童を中心に発病。風邪をひき、咽頭(いんとう)炎の後、2~3週間後に関節の痛みや心障害を引き起こす。今は抗生物質でリウマチ熱を抑えるので、リウマチ熱の後遺症による弁膜症は激減した。

 ◆心臓弁膜症の手術の名医
 ▽心臓血管センター北海道大野病院(札幌市西区)心臓血管外科・道井洋吏院長
 ▽岩手医科大学循環器医療センター(岩手県盛岡市)心臓血管外科・川副浩平教授
 ▽東北大学医学部付属病院(仙台市青葉区)心臓血管外科・田林晄一教授

January 15, 2006 11:50 AM

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